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24:
枯れ草 [×]
2017-02-12 14:27:03
一‐続き
部長は隣にいる自分の世話係兼秘書ロボットに向かって頷いた。すると、ロボットは目を光らせ、その光が当たったモニターには衛星写真が浮かび上がった。
そこからは思い出すのもうんざりする話が続いた。すなわち、旧人類が生きているという話が事実だということを裏付ける講義が続いたのだ。
何でも今回、衛星を通して発見された旧人類は、何百年も前に堕落の道を辿った旧人類の主文明から決別し、そこから逃れに逃れ続けて、南東にある幾つもの島の一つで隠れるように暮らしを続けていたらしいとのこと。まさに取り逃がされたゴキブリである。
発展と幸福に基づいた世界を守る為の環境保全課として、彼等の扱いについては、勿論、滅ぼす方向で考えられているようだが、如何にして滅殺すべきか、というのが持ち込まれた課題というわけだ。
「まぁ、こんな話を急にされても困るだろう。一週間後に会議を開くから、それまでに各自、企画を固めてきてくれ。なお、この話は機密事項だからな。絶対に外部に漏らさないように」
部長が眉間に皺を寄せたまま言った一言で、その恐怖の報告は終わりを告げた。
二
「会議は一週間後だって。そんな悠長なことを言っていて良いのかな」
自宅に帰り着いたシリウスは、食卓の席で、また遊びに来ていたエウロパに言った。エウロパは細かく言えば他部署だが、環境保全課に属している点は同じなので、職場で話は聞いている様子であった。
「何の役にも立っていない連中が、今も同じ星の上にいて、のうのうと資源を貪り続けているだなんて、考えるのも悍ましいよ」
シリウスはSs-07が作った究極のオムライスを頬張りながら続けた。対して、エウロパは暗い面持ちでシチューに入れたままのスプーンを持っていた。彼女がこんなに暗いのは珍しい。シリウスは心配になって少し慌てたように言葉を繋げた。
「あ、でも、でも安心してね。そんなに時間を貰えたんだから、僕も良い掃討計画を考えるよ。一ヶ月も経たないうちに、旧人は今度こそ、この星からいなくなるさ」
ところがエウロパは思い詰めたような暗い顔のままだった。しかし、ここに来てようやく口を開いてくれた。
「ねぇ、前から思っていることを言ってもいいかな」
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