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【SF/ロボット】 Earth × Moon 【小説】/1


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■: 名無しさん [×]
2015-12-12 18:46:16 

なりきりトピで立てさせて頂いてたのですが、ワタシの都合で大きく時間を開けてしまったため、SSのような形でこちらに不定期連載させていただきます。参加希望者の方や閲覧者の方々にはご迷惑をお掛けします。


1: 名無しさん [×]
2015-12-13 02:04:51

プロローグ【月は母星の敵となった】 



新暦0093年1月22日、宇宙に進出し、月を地球と並ぶ新たな生活拠点、および宇宙への進出拠点とした人類は圧政を強いる地球政府に対して月面都市連盟として独立を宣言。月を植民地としたままにしたい地球政府はそれを阻止するために見せしめとして月の食料生産の68%を担う月面都市コペルニクス・クレーターに核攻撃を開始した。それに対し月面都市連盟は宇宙用作業ロボットとして秘密裏に開発していた新型機動兵器エクスマキナ(EXM)を投入。地球軍の核攻撃艦隊に対し大打撃を与えた。これを切っ掛けに月と地球との全面戦争が勃発した。



 軌道エレベーターの定期シャトルのターミナルにはまさに黒山の人だかりと言わんばかりの記者の群れが押し寄せていた。分厚い強化ガラスの窓の外には飲み込まれるような漆黒の宇宙空間が広がり、宝石のような幾億幾万の星が輝いている。その中にひときわ速く動く光点が1つターミナルに向けて接近してくる。月からの臨時シャトルである。いち早くそれに築いた記者団が声を上げ、カメラが徐々に大きくなるその光点を映像に捉える。シャトルが宇宙港に到着した数分後に月からの使者がターミナルに降り立った。青い表情をした使者、ジョセフ・アルバートは緊張した面持ちでネクタイを締め直すと、記者の面々を見渡し、重い口を開けた。

「我々、月面都市連盟は先の独立宣言を撤回することはありません。先日地球より行われた食料生産プラントへの攻撃はかつての条約にも違反している行為であり、到底許されるものではない。現時刻を持って我々、月面都市連盟は報復として、全軍事用マスドライバーの奪取、破壊を開始します。」



----アラスカ----


「定期報告、定期報告、第3ブロックに異常はなし、繰り返す、第3ブロックに異常はなし、オーバー」

『了解した、あと1時間で交代だ、暖かい休憩室が待ってるぞ、オーバー』

 極寒の突風が吹きすさぶアラスカ基地は地球軍が保持するマスドライバーの1つを有する大規模基地である。第3ブロックを集会する装甲車の小さな窓から外を覗いている若き志願兵のジャック・ウェルシュは自身の任務である第3ブロックの警備を行っていた。

「今日はいつもより風が弱いですね」

「そうだな、ま、どっちにしろ寒いのにゃあ代わりねぇ、暖房が付いてるってのに凍えちまいそうだ。」

 装甲車の窓を隔てた先に見えるのは雪原と雪山のみで、その光景は暖房と防寒具で守られていてもなお思わず体を震え上がらせるほどに寒さを感じさせる。しかし今日は珍しく雪は降っておらず、風も比較的穏やかなもので雲の隙間からわずかばかりの太陽が時たま恥ずかしそうに顔をのぞかせている。しかしそれでも極寒の地であることにかわりなく、先輩兵士のアルフレッド・フーバーがうんざりしたような面持ちで煙草に火をつける。

「先輩、任務中の煙草は軍機違反ですよ」

 そう言ってモニターから目を離したその時だった。


ビーッ!ビーッ!ビーッ!ビーッ!


 警報が唸りを上げる。ジャックは通信機を作動させ、応答までの間に必死にモニターに目を凝らす。しかし応答が帰ってくることはなかった、通信機のスイッチを入れた直後に司令部のある方角から爆炎が上がったのだ。通信機から俳句宛を失った電波がノイズを発する音だけが聞こえてくる。

「なんだ!?どっから攻撃されてやがる!」

「上です!2時の方角に降下中の物体あり!数は……4!」

 アルフレッドがセンサーが捉えた物を確認するために窓から外を覗き見る。するとそこにはたまご型の大気圏突入ポッドと、それから飛び降りて基地に砲撃を始めている人型も物体であった。それは先の戦闘で導入されたばかりの新兵器。EXMであることを、他の兵士からすればひよっこの二人は知らなかった。

「司令部はなんで気づかなかったんだ!くそっ!」

「本部!応答願います!こちらアラスカ基地!こちらあらアラスカ基地!誰か!」

 アルフレッドがすでに行く宛を失った悪態をついて装甲車の運転をマニュアルに切り替え、格納庫に向かう。装甲車に積まれている機関銃だけではあまりにも役不足と判断したのだろう。新米兵士としては逃げ出さないだけ十分に優秀な兵士といえる。格納庫からは煙が上がっているが戦車はなくともロケット砲の1つでもあればあのデカブツに一泡吹かせられる。気の強いアルフレッドは怒りに身を任せて装甲車をはしらせている。ジャックはその間も本部との通信を試みていた、しかしそれは無駄な努力でもある、電波の媒介である電波塔は、司令部が破壊されたと同時に根本から吹き飛んでしまっていた。その時、ノイズ混じりの声が、通信機から流れてきた。

「………せ……総い………よ………総員撤退……よ、く………す、総員……」

その声は、信じたくもない敗北を告げていた。不明瞭で聞き取るのは困難ではあったが、それが撤退の合図であることがわかった。アルフレッドがコンソールに拳を打ち付けた次の瞬間、崩れ落ちるマスドライバーが先ほどまで装甲車で走っていた第3ブロックを押しつぶした。

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