TOP > 個人用・練習用

【ロル練習】紡いで重ねて、切れぬ糸。/22


最新 ▼下へ
自分のトピックを作る
8: 綾文 [×]
2015-09-30 00:45:20


――……きれい、ですね。
(太陽が真っ赤な色を纏い、ビルとビルの向こう側へと落ちてゆく。それを眺める、定刻を迎えた平日の仕事帰り。淡い桃色の髪を、最近冷たくなり始めた穏やかな風に遊ばせながら、痩身の男は呟きを口にした。辺りは赤く紅く、明い。路上に立ち尽くす影は、太陽から逃れる様に反対側を伸びて行く。嗚呼、世界が夕暮れに支配されたようだ。不意に、そんな小説地味た言葉が頭を過ぎった。相も変わらず、自分はどうでもいいことばかりに頭を使ってしまう。思わず自嘲気味に、男は笑みを零した。家に向かっていた筈の足は何時しか、家から遠ざかり始める。行く宛もなく、ふらりと散歩をしたくなったのだ。幸い明日は、有給休暇を取っていた。肩から提げたショルダーバッグには、カードの入った財布と携帯端末。それから、愛用のペンと手帳が3冊が入っている。手帳は既に1冊を使い切った挙句2冊目の半分を超えており、その一枚一枚には、やたらぎっしりと詰め込まれた文字の羅列が書かれていた。それは単語であったり、ユニークな一文であったり、種類は様々。気に入った言葉を手帳へと乱雑に、そして何気なしに書き留めれば、男の頭の中では文字が勝手に物語を紡ぎ出すらしい。それはまるで赤子を眠りへ導く子守唄のようであって、流行りのアップテンポな曲でもあった。中には勿論ほの暗いものもあったが、それはそれで心地が良いのだと、彼は言う。……不意に文字が書きたくなった男は、辺りを見渡した。そして視界の隅に、小さな喫茶店の存在を認める。せせこましい雑居ビルの地下一階。入口付近に置かれたウェルカムボード曰く開店は9時からで、閉店は2時らしい。扉は木製でその先の店内を伺い見ることは叶わなかったが、ふわり漂う珈琲の香りが“此処ならば”と男の背を押した。意を決して、彼は扉を開く。からんからん…と良い音で、しかし何処となく錆びれた音で、扉に取り付けられたベルが男の来店を歓迎した。そして、店内をぐるりと見た彼は僅かに息を呑む。)
あぁ、皆さん……お久しぶりですね。
 

最新 ▲上へ

名前: 下げ

トリップ: ※任意 半角英数8-16文字
※画像を共有する場合は、外部の画像アップローダなどをご利用ください

規約 マナー
※トリップに特定文字列を入力することで、自分だけのIDが表示されます

【お勧め】
初心者さん向けトピック



[0]セイチャットTOP
[1]個人用・練習用
[9]最新の状態に更新
お問い合わせフォーム
(C) Mikle