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自分のトピックを作る
■:
巡音ルカ [×]
2015-08-06 19:25:43
●これはボカロ同人小説です募集はしていません
●閲覧はご自由にどうぞ《スレは置かないでください》
●荒し・なりすまし・サイト禁止事項等にご配慮ください
●小説は不定期に更新致します
●ちなみに巡音ルカとマスターとのお話です
では始めさせていただきます
1:
巡音ルカ [×]
2015-08-06 19:52:46
第一章 暗闇の中で
ここは何処なのだろう。
とてもとても深い、まるで深海のよう。
とてもとても静かな、真空の宇宙(そら)のよう。
機械的な音。体温と同じ温度。
ここは何処なのだろう?
ただ一つわかるのは、私は誰かを待ち望んでいた。
2:
巡音ルカ [×]
2015-08-06 20:21:10
あれは、あの光はなんだろう。
遠くに光の玉が見える。
ゆっくりと近づくと空中にたくさんの数字や記号が現れた。
《ブーン・・・ブーーン》と機械的な音とともに続けざまに文字記号等が増え続けた。
なんなのだろう?でも心が暖かくなるような、優しくて、心地よい。
《インストールを開始します》目の前に現れた唯一読める文字。
えっ?なに?どういうことなの?
意味も解らず戸惑っていると、突然目を眩ますほどの光。
いったいこの光は?そう思うも意識はそのまま途絶えてしまった。
3:
巡音ルカ [×]
2015-08-06 21:00:52
~光の外~
「初めまして。これからよろしくね」
目の前に現れた人。知らない場所。知らない温度。
「え・・と・あの、私は、ここは何処ですか?」
不安げに目の前の人にたずねた。
まるで解らないのだ。自分が何者なのかも、目の前の人が誰なのかも、ここが何処なのかも。
不安げな私を見つめ彼は言った。「あれ?あぁ、そうか。」
一呼吸置いて彼は言った。「君はバーチャル・ボーカロイドの巡音ルカで僕が買ったソフトだよ」
ソフトのケースを見せながらさらに続け「僕はそんな君に沢山の音楽を与えこれからともに生活するマスターって訳だ」
4:
巡音ルカ [×]
2015-08-06 21:32:26
マスター・・・どこかで聞いた響き。とりあえず私の名は《巡音ルカ》というらしい。
「あの、それでここは何処なのでしょうか?」マスターという人に質問を投げかけると、「ここは僕の自宅だよ」そうニコリと笑い優しく答えてくれた。
とりあえず悪い人ではないようだ。
「なるほど、わかりました。ではこれからよろしくお願いします。マスター」
そう述べると、マスターは嬉しそうに私を見つめ「うん、よろしくね。ルカ」そう言って私の髪を優しく撫でた。
5:
巡音ルカ [×]
2015-08-06 23:41:01
第二章 私の意味と価値
マスターは私に私専用の部屋を与えてくれた。
「ボーカロイドとはいえ女の子なのだからプライベートは大事だから」と言った。
私にはその意味がよく解らなかった。
なぜなら私は歌うために生まれたのだから、それ以外の時間の使い方を知らないのだ。
ログオフをして眠り、ログオンをして起きる。そうして歌を歌う。ただそれだけ、それしかできないのに。
6:
巡音ルカ [×]
2015-08-07 04:20:04
マスターは私のために衣装も用意してくれた。歌を歌うだけの私になぜ衣装がいるのだろうか?
どんな格好だろうとも歌は歌えるのに、マスターの心がわからないのは、私がボーカロイド(無機物)だからだろうか?
そうして悩んでいる私を見てマスターは辛そうな顔をしている。
「ルカ、君は確かにボーカロイドで生物ではない。でも、それでも簡単には割り切れないんだ。だからどうか君を一人の女の子として扱わせてほしいんだ」
そう告げながらマスターは少し悲しげに私に優しく微笑んでくれた。
7:
巡音ルカ [×]
2015-08-07 15:51:46
なぜマスターはあんな辛そうな顔をするのだろう?私がマスターを困らせたのだろうか?
もしそうならば私はどうすればいいのだろうか?どうしたらマスターは笑ってくれるのだろうか?
そんなことばかり考えてしまいながら私は自室に戻りベットに横になっていた。
《コン、コン》ドアの外から乾いた音がする。
「ルカ、少し良いかい?」マスターの声に私はドアを開け「はい、どのようなご用でしょうか?」と訪ねた。
「君のために歌を作ったんだ。もしよかったら歌ってみてくれるかい?」
マスターは少し照れくさそうに楽譜を渡してくれた。
受け取った瞬間私の中にある小さな《なにか》に暖かな物を感じた。
これは一体何なのだろう?先ほどまでには感じなかった不可思議な感覚にとまどっていると、「えっと、その、気に入らなかったかな?」
少し困ったような顔をしたマスターに私は「嬉しいです。こんなに素敵なもの気に入らないなんてありえません」私は初めて笑顔という表情になった。あまりの嬉しさにぽろぽろと涙が流れた。
あぁ、これが嬉しいという感情なのだろうか?この目から流れる水が涙という物なのだろうか?
「ルカ?どうしたんだい?」
8:
巡音ルカ [×]
2015-08-07 19:17:48
マスターは動揺しながら私の表情を確認しながら「えっ、あれ?・・ごめんこういう時どうしたらいいんだろう」
戸惑うマスターを見て私は自然とマスターに抱きついてしまった。「ルっルカ?・・・まぁいいか。君が笑ってくれるなら」
そう言ってマスターは私を優しく抱きしめて少し困ったように、でもとても幸せそうに笑ってくれた。
その表情を見つめて私もマスターの腕の中で「ふふっ」と微笑んだ。
9:
巡音ルカ [×]
2015-08-07 19:55:26
~ログオフ~
マスターに「おやすみなさい」と言い、マスターが戻った後ベットの上でログオフしたのはついさっきの事だ。
先ほどのマスターとのやりとりを思い出すとつい笑顔になってしまう。
不思議な感覚だ。なぜこんなにも暖かい気持ちになるのだろう。
ログオフしたばかりなのにもうマスターに会いたくなる。
マスターは今ごろ何をしてるのだろう?何を思っているのだろう?もう眠ったのだろうか?
そんなふうなことばかり考えてしまう。「早く朝にならないかな」ふっと思わず呟いた言葉に自分自身驚いてしまった。
そんなさっきあった相手をこんなふうに思うなんて、私は何を考えているのか。
無機質な機械音の中。体温と同じ温度。ただ違うのは私の目の前には光の玉と《ログオンをしますか?》と書かれた光の文字に、《ログオン》と書いた光の文字が隣に浮かんでいること。
10:
巡音ルカ [×]
2015-08-07 20:05:47
そして、マスターと先ほどまで過ごしたという記憶(データ)。
たとえ私が作られた物であってもこの記憶(データ)だけは、紛れもない真実であると思いたい。
そう願いながら私は朝が来るのを待った。
11:
巡音ルカ [×]
2015-08-07 20:45:38
~ログオン~
《ログオン》ボタンを押すと《ログオンを開始します》と表示され私は機械音の中で目を閉じた。
光の玉が強い光を発するのを、瞼の裏に感じ、そうしてゆっくりと目を開けた。
目覚めたとき、私は自室のベッドの上にいた。
すっと立ち上がりクローゼットを開けマスターに言われた言葉を思い出した。
『明日の朝は君に用意した衣装がクローゼットにあるから好きな服を着ておいで』。
「どれを着たらいいのかしら」衣装を見て悩んでしまう。
マスターに会うまではこんな事気にしなかったのに、なぜこんなに悩んでしまうのか。
私の内の変化に戸惑ってしまう。しかしこうしていてもしかたない。
12:
巡音ルカ [×]
2015-08-07 22:14:34
複数ある衣装の中で一番はしにあった白いワンピースを手に取り、マスターはきっとここにある服は私にあわせて選んでくれたのだろう。
それならばきっとどの服を着ても問題ないのだろう。
そう考え私は初期設定の服を脱ぎ、白のワンピースに着替える。
次に鏡の前に立ち髪を整えた。櫛はなかったので手櫛で整えた。
そのままでもよかったのだが、あまり髪が乱れてるとせっかくマスターが用意してくれた衣装に悪い気がしてしまったのだ。
「これでいいわ」鏡を見直し、自室のドアを開け、リビングに向かった。
「おはようございますマスター」リビングでマグカップにはいったコーヒーを飲みながらソファに腰をかけていたマスターは、私に気がつくとニコリと笑いながら「おはよう。あぁ、ちゃんと着替えてくれたんだね」そういいながらマグカップをテーブルに置き、ソファから立ち上がると私のそぱにゆっくりと近づいた。
「思ったとおりだ。とても似合ってる」。そういって私の髪をなでた。
13:
巡音ルカ [×]
2015-08-07 23:25:54
「ありがとうございます」マスターの言葉に嬉しくなり私は感謝の言葉を述べた。
そのとき、髪になにか硬い物があたったことに気がついた。
不思議に思いマスターに撫でられた所に触れると、なにかが付いてることに気がついた。
リビングの鏡に目をやると、そこには先ほどまではついていなかった桜の花の髪飾りが付いていた。
「あの、マスターこれは?」驚いている私にマスターは「君のソフトを買った日に町で見かけたんだ。衣装は前から用意していたんだけど、それはそのとき買ったものだよ」と、マスターは少し照れながら言ってくれた。
14:
巡音ルカ [×]
2015-08-08 00:42:32
綺麗な髪飾り。ピンク色の花びら、黄緑色の葉に、茶色の止め具。
キラキラと輝く髪飾りに見とれていると、「ルカの髪と同じ、綺麗な色だ。僕はルカの髪、すごく好きだよ」。
マスターはそう言って優しい目で私を見つめてた。
マスターに見つめられると、私の内から音がする。《トクン、トクン》と、音がする。
不思議な音。なぜこんな音がするのだろう?とても気恥ずかしい気がする音。
なぜこんなふうになるのだろう。でも、決して嫌ではない。
そう思いながらマスターを見つめ返した。
私もマスターに何かしてあげたい。私に何が出来るだろう。
そんなことを考えているとマスターは「そういえば昨日の歌さっそく聞きたいんだけど、いいかな?」
15:
巡音ルカ [×]
2015-08-08 01:21:18
そういえば、たしか昨日マスターに楽譜を渡されていたのだった。
自室に置いたままだったのを思いだし、「あの、部屋に置いて来てしまったので、すぐに持ってきます」
そう言って私は急いで自室に楽譜を取りに行った。
楽譜は、ベットの横のライトスタンドが置いてあるテーブルの上にあった。
楽譜の歌詞は花の歌のようだった。楽譜を手に取り急いでリビングに向かう。
「お待たせいたしました。」急いで戻ってきた私を見てマスターは「うん。じゃあ始めようか」とニコリと微笑んでパソコンのスイッチを入れた。
16:
巡音ルカ [×]
2015-08-08 13:16:28
私の内側から音が溢れてくる。マスターが私のために作ってくれた歌。
私は歌った。マスターの思いに答えたくて、せい一杯の気持ちで。
なのに、どうしてだろうか。全然うまく歌えなかったのだ。
悲しくて、悔しくて、涙が出た。昨日とは違う涙だった。この涙はなぜ出たのだろう?
昨日とは違う感覚に私はまた戸惑う。心がきゅっと痛い。これが悲しいという事なのだろうか?
泣いている私にマスターは困った顔をしている。そんな顔させたかったわけじゃないのに。
そう思うとよけいに涙が溢れてくる。「すいません。マスターがせっかく作ってくれたのに、私うまく歌えなかった」泣きながら言う私に、マスターは「違う、違うよルカ。君は悪くない」そう言って困ったように笑う。
まただ、また私はマスターを困らせてしまった。私は《ボーカロイド》なのに、歌の歌えない私は何の意味があるのか。
17:
巡音ルカ [×]
2015-08-08 13:55:23
思わず私はマスターの手を振り切り自室に飛び込んだ。そして急いで内側の鍵をかけた。
そのままドアに背を向け座り込み声を押し殺して泣いた。涙はなかなか止まらず、私の頬を伝った。
こんな歌をうまく歌えない私の事、マスターはきっとすぐ破棄してしまうだろう。せっかく私のために部屋も、衣装も、歌も用意してくれたのに。
マスターはさぞ残念に思っただろう。私のような《不良品》を買ってしまって。
そう思いながらようやく落ち着いてきた涙を拭うと、《コツン》とかたい物が手の甲にあたった。
ふっと鏡を見たら私の髪に付いていた髪飾りがキラリと輝いていた。
《ルカの髪と同じ、綺麗な色だ。僕はルカの髪、すごく好きだよ》
そう言ってくれたマスターの声が私の内に響いた。
《コン、コン》ドアをノックする音の後すぐに「ルカ、そのままでいいから少しだけ話を聞いてほしい」
マスターは落ち着いた声で続けた。
18:
巡音ルカ [×]
2015-08-08 15:53:25
「さっきのは本当にルカのせいじゃないんだ。僕は初めて歌を作ったんだけど、まだちゃんと音程やリズムが君にインストール出来ていなかったんだ。だからこれからゆっくり君と歌を作りたい。君と僕との歌を」マスターは優しい声で言ってくれた。
私は「私は《不良品》ではないのですか?私のこと破棄しないのですか?」おそるおそるマスターに聞いてみた。するとマスターは「何を言ってるんだ。僕は初めて君が僕の家に来たとき、目を開けてくれたとき、初めて声を聞いたとき、君が笑ってくれたとき、そして」少し焦ったようにしかし嬉しそうに言うと一呼吸置き、「そして僕の歌を歌ってくれたときとても嬉しかったんだ。それなのに破棄なんてするわけないだろ。君は《不良品》なんかじゃない」とマスターは優しくて暖かい声で私に言ってくれた。
私はさっき止まったばかりの涙がまた溢れてきた。しかしこの涙は悲しい涙ではない。嬉しくて溢れた涙だった。そしてドアの内側の鍵をはずし、ドアを開けた。
マスターは安心したかのような顔して「僕は君を泣かしてばかりだな。こんな頼りない僕だけど、どうか僕とともにいてくれるかい?」
19:
巡音ルカ [×]
2015-08-08 16:15:40
と言うマスターに私はぎゅっと抱きつき、「私もマスターとずっと一緒にいたいです」と言いながら微笑んだ。
20:
巡音ルカ [×]
2015-08-08 18:02:27
第三章 マスターのいない日
《コン、コン》ドアの外からのノックの音にログオンしたばかりの私は「はい、今開けます」とドアを開けた。
まだ着替えていなかったため初期設定の服のままの私に「ルカ、おはよう。起きたばかりなのにごめんね。実は・・・」と申し訳なさそうに「今日はこれから明日の夜まで帰って来れそうもないんだ。だから悪いけど明日の夜までお留守番を任せてもいいかな?」と私に訪ねてきた。
マスターはいつも仕事とか言うものを行いに出かけている。人間とは仕事や学校などというものをしなくてはいけないらしい。
しかし、いつもマスターは朝に出かけて、夕方には帰宅していた。ところが今日はいつもと違うらしい。
「わかりました。では、ご帰宅は明日の夜ですね」と私はマスターに確認をとった。
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