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個人用・練習用
自分のトピックを作る
67:
ブラック [×]
2015-04-20 02:57:47
タクシー運転手(ルパン三世2nd)
2万3千400円、本日2時間での稼ぎを数えながら煙草に火を点ける。
左側にある運転席に腰を掛けるのは何年振りだろうかと、窓を換気する為に開けながら思う。
パッと見ればホストが着るような形の服に、白い手袋。警察官が被るような帽子を身に纏い、窓から腕を出して、煙草の煙を外に出していた。
そんな時、コンコンと助手席側の窓がノックされた。
ボタンを押し窓を下げていくと全身黒で統一している、『同業者』がそこに居る。
「乗りな」
同じくボタンを押して後部座席のドアを開けると、同業者は乗る。
窓を上げ、ドアを閉め「今日はどこまで?」と、ソフトテノールで問いかける。
同業者は暫し考えて「おめぇの家」と短く言った。
「えー。もっと楽しい所行かない?」
「仕事中だろ」
「こっちの仕事は自由なの」
どこがだ。小さく放たれた言葉に肩を竦め苦笑いを零し、車を発進させる。
黒いその車は誰が見ても分かるよう、電光掲示板で『貨車』と表示され、誰も乗ってこないだろう。
「それで? そっちはどうなのよ? かなり稼いでるみたいじゃない」
煙草を車についている灰皿で消しながら後ろの同業者に問いかけながら、笑みを浮かべてバックミラー越しに見つめる。
「おめぇも大分稼いでるだろ」
「べっつにぃ~。次元さんよりかは稼いでいましぇーんけど」
クククッ、嫌味とも取れる笑みを浮かべタクシーの運転手――ルパン三世は白い手袋越しに2万3千を掴み、ヒラヒラとさせた。
その姿に後頭部座席に腰を下ろしていた相棒の次元大介は肩を竦め、「ルパン、おめぇ……手ぇ抜いたな」と帽子を片手で押さえ口角を上げているのを、バックミラーで確認し「うるせぇな……」とルパンは色々と誤魔化して返答した。
「――ところでよ」
ふと口を開いたのは次元だ。
信号がチカチカと点滅したのを確認し、歩行者用の信号が赤に変われば、車用の信号が青に変わる。
エンジンをかけて直線の道路を走っているのにも関わらす、一向に値段のメーターが上がっていない事に次元が気が付き、一瞬躊躇いはしたものの、声を掛けられずにはいられなく、遠慮気味に運転席に居るルパンに声を掛けた。
「何でメーター上がってねぇんだ?」
次元が指を差して言った事にルパンは恥じらいも怒りも含めることなく、むしろ嬉しさを含めた表情で「だって、愛しの次元ちゃんをルパン邸に招くのに、お金とっちゃいけないでしょ?」などと言っているのだ。
馬鹿だ。次元は口の中でそう返答し、懐から煙草を取り出したところでルパンが車内用の小型の換気扇を回す。
「あのねぇ……。他のお客さんも乗るからあんまり煙草吸わないで頂戴」
自分の事を棚に上げて何を言っているのだとこの場に銭形や五右ェ門、不二子が居たらそう思うか言うだろう。
だが今回のこの『仕事』に不二子や五右ェ門は居ない。
ルパンが何度か誘ったのだが、全て不二子の「いーや!」の一点張りで幕を閉じた。
「さて、もう着いたぜ」
ゆっくりブレーキを踏み、徐行させて、車を止めると勘定中と書かれた電光掲示板に変え、「俺の今日の稼ぎと次元ちゃんの稼ぎが合計で5万円とちょっとで……」と今日一日の集計をしている。
手を抜いたらこのぐらいか、逆に手を抜かずにすればもっと稼げるのだが、本業以外真面目にする気はなく、適当にやっている。
今回の仕事は『タクシー運転手』に成りすましながらも、盗みを実行する、というのがルパンのシナリオだ。
その為、毎日どちらかの仕事が終ればそこで終了で、アジトに戻って作戦会議や、報告等などを済ます。
ドアを開け、次元が出たのを確認し、ルパンは車を倉庫に直しに行って、戻ってくる。
「じゃ、まずは、情報提供から始めますか」
ルパンの声と共に、グラスと酒が取り出されて、いつもの様に、時間をかけた仕事の打ち合わせが開始された。
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