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個人用・練習用
自分のトピックを作る
61:
ブラック [×]
2015-04-09 06:32:38
愛欲のプリズナー(ルパン三世2nd/ひとしずくP×やま△/愛欲のプリズナー)
今日もアイツはアジトから出て行く。
何かあるのかと尋ねると、いつも決まって「飲みに行く」だった。
最近その言葉が怪しい。
『飲みに行く』、アジトに酒はある。勿論俺とルパンの好みの酒がある。
それなのに飲みに行く必要など必要ない。
「おい、ルパン……」
声をかける前にバタン、とドアを閉めて出ていった。
この酒臭いリビングから玄関に、ルパンは歩いているんだろう。
そして、ギィィなんて戸が開く音が聞こえると、ルパンはアジトから去って行った。
明日の朝に帰ってくるのだろうか、そんな事を思いながらソファに横になる。
ルパン三世に愛された者は必ず死ぬ。
そういう【呪い】がかかったのは、いつ頃だろうか。
ルパンは気にした様子はないようだが、本気で愛した女が死んだ時はショックだったのか、三日間何も口にしようとはしなかった。
ルパンの女癖の悪さは誰だって知っている。
そんなルパンが惚れた女が、死んで、ルパンは部屋に籠もり、三日後、何も無いように出てきた。
――なぁ、そろそろ、気付かねぇのか?
俺の呟きなど知らず、ルパンの野郎はお気に入りの赤いジャケットを羽織って出て行ったまま。
**
何日が経ったのだろうか、ルパンは今日もまた『飲みに行った』。
どうせそこらの女をナンパしているんだろう。懲りねぇ奴だな。
そしてフラれるのがオチなのによ。
朝5時、寝付けず煙草を咥え、リビングの古びたソファに腰掛け、バーボンを飲んでいるとルパンが帰ってきた。
「次元ちゃん起きてたの?」
「あぁ。寝付けねぇんでな」
短く返事をしながら煙草を灰皿に押し付ける。
自分の苛立ちを隠すようにグラスを掴み、口の中に流し入れる。
「チッ」
不意に出た舌打ちだった。
迂闊だ、ルパンの前で舌を打つなど絶対何があったのかと聞いてくる。
あぁ、どうやって誤魔化そうかと考えている矢先に――次元ちゃん? なんて声かけてきた。
当分テメェの声なんざ、聞きたくねぇや。そう答えてしまいそうになり、「喉の調子悪くてよ」なんて言い訳を吐いた。
ルパンは肩を竦め、「風邪には気をつけろよ」なんてほざいた。
――あぁ、クソ。苛立ちが治まらねぇ!
帽子をいつも以上に強く押さえ、ソファから乱暴に立ち上がり、普段より速いペースでリビングを後にした。
一体何処の誰だ、俺の相棒をこんなに狂わしたのは。
毎日毎日、とっかえひっかえに女の臭いなんざつけてきやがって。
「……胸糞わりぃ」
一言吐いて俺は玄関のドアを足で閉めた。
**
そろそろ気が付けよ。オメェを必要としてる奴が誰なのか。
もう良いだろう。お前のその【呪い】とやらに言いたい事が山ほどあるんだろ? オメェは。
でも俺はその【呪い】に感謝してんだぜ?
なぁ、お前がどれだけ『死なせたくない』と願ったところで【死神】の前じゃ、無意味なんだ。
「次元……」
マグナムをルパンの隣にいる女に向ける。
誰も居ない、実際は俺とルパンと女しかいない路地裏。
【死神】にとっては別に殺すならどこでも構わない。
「オメェのその不幸はな……」
一度言葉を区切る。
そして、引き金に手を掛けながら「作られたモンなんだ」と指に力を入れる。
バァン、ゆっくり弾が銃口から出て、女の元に吸い込まれる様に向かい、銃声と共に、女が赤く染まり、地べたに崩れる。
バンッ、バンッ、バンッ、と何度も女に向かって引き金を引く。
人の形を残さない為に、弾を入れ替え、再び女に銃口を向け、引き金を引く。
それを何回も繰り返し、女なのか、果たして人間なのかという状態までのグロテスクさになってから銃を仕舞う事はせず、ルパンに銃口を向ける。
俺が撃っている間、何も言えない様な面でそこに立っていた。
「お前が、殺して、いたのか……?」
やっと紡ぎ出された言葉。その言葉に鼻で笑い、帽子を押さえ「呪いのせいだろ?」と、嘲笑した。
【死神】には感情がない。いや、必要ない。
【呪い】を解きてぇなら一つだけ方法がある。
マグナムを俺の脳天に当て、撃つフリをした。
ルパンはそれで全て悟ったのか、瞳に光を宿らせないでワルサーを取り出し、俺に向ける。
――あぁ、殺せ。それでオメェさんの『不幸』という名の【呪い】は消える。
バァン。
一つの銃声と共に、俺の視界は真っ暗になり、意識もぼんやりして、冷たい地面の上に落ちていった。枯葉のように――。
【とある帝国の三世に愛されると死神に殺されるらしい】
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