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狂気の生きる場所‐呟き場所‐/29


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自分のトピックを作る
■: 俊雪‐シュンセツ‐ [×]
2014-06-04 02:16:18 

あれは私の中に殺している
いや、生きているのかもしれない。
誰にも話せない
けれども留めておくには重たすぎる狂気
私はそんな狂気と一生、歩んでいかねばならない。

しかし悲しくはない 何しろ、誰しもが抱え
ある者は向き合い
ある者は目を背けて生きているのだから。


1: 俊雪‐シュンセツ‐ [×]
2014-06-04 02:43:10

あなたは、自分の把握している領域を
知らぬ間に自分がはみ出してしまった経験があるだろうか。
それは、快楽であっただろうか
それとも、恐怖であっただろうか
それは混沌の中に潜む喜び
いや、悦びと言った方が良いかもしれない。

人間は教えられて生きる。
何をか、それは人間らしく生きる方法を もっと言うならば
人間の中での生き方を。

さてそれはどういうことか、それ以外の選択肢は無い?
否、それこそが『教えられた生き方』だ。
なぜ、教える
なぜ、そうせねばならない
なぜ
なぜ、人はその枠から出ないのか
それは、とても単純なことかもしれない。

何故なら人間は
枠組みに安堵する。
怒りや悲しみ、切なさ、愛おしさ、癒やし、緊張、歓喜、落胆…これらの感情が一度に押し寄せる。 生きた触手のように心を浸食して行く。 終いには、これらの感情に支配され
罪の意識と悦びに触れ支配されてしまう。
これらの感情に名が無いため、善か悪かわからず不安になる。
いつからだろうか
それを『愛』と呼び、肯定的な存在にしてしまったのは。

それは、愛にして愛以上の到底わかり得ないものかもしれないと言うのに…
愛以上の愛も一つではない。
猟奇的な何か
純粋な何か
孤独な何か
きっと人の数だけあるのだろう。
だが、『愛』と呼ぶ以外に方法がなく
仕方なしに愛と言う枠に当てはめて安心するしか
無い
と思っているだけだ。

2: 俊雪‐シュンセツ‐ [×]
2014-06-04 09:28:04

私は人を堕落させてしまう。
たまたま、といえばそれで済む。けれどもそうは思えない。 と言うのも私は人より人を惹きつける。自ら言ってしまうのだから台無しだが
男女問わず惹きつけてしまったのだ。
中学生の頃、それが気に入らない、と女の子にひどいイジメにあった。私がその中学に転校した初日、例のごとく私の机の周りを人が囲んだ。それも、異性ばかり。このことが女の子の嫉妬に触れてしまったのだろう。
翌日からイジメが始まった。
正直、慣れていた。転校にもイジメにも。幸い私は教科書さえあれば勉強ができる人間だった。片親で日中は家に一人。
よって私は学校には週数回しか行かなくなり行っても教室には近寄らなかった。 自分に閉じこもった。要は逃げたのだ。 しかしある放課後、教室に行かねばならなくなり私は女の子達の良い玩具にされていた。
それを救ったのは学校でも目立っていた男子生徒。私は話したことすらなかったが名前はよく先生方からきいていた。
彼の立派な正義感も私からすれば迷惑だった。焼け石に水、火に油、本末転倒だ。彼はご丁寧に自宅前まで送ってくれた。
見返りを求める目、発展を希望する目をしていたので感謝だけ伝え帰ってもらった。
私は担任に連絡し、彼が面倒に巻き込まれないよう頼んだ。
担任によれば彼は目立つが真面目に毎日学校へ行き友達も多いようだ。曰わく『あいつと居れば友達ができやすいかもな』なんて脳天気に励ましてきたが、愚かだ。多いからこそ避けたい。
翌日、私は9時に起きると道路側に面している二階自室の窓をあけた。
白い雲が空を覆い、落葉樹が隠した地面、遠くの工場からあがる煙り、心を映したような閉鎖的な街だ。
けれども冬の空気が鼻孔を通り浄化されるような感覚になった。ふ、と下を見る。
眼下には昨日の彼。 目が合えば降りて行かないわけには行かなかった。
‐なに…‐
‐いや…大丈夫かなって思って‐
‐大丈夫。もう学校始まってるよ‥行きなよ‐
‐…いや、休むわ。制服着替えてくるから、どこかで話さない?‐
‐…だめ‐
‐なんで‐
‐私が嫌だから‐ ‐…わかった‐
一瞬悲しい顔をした。良心が泣いた。が、そうせねば不登校に引きずり込んでしまう。
私はうつむき扉を閉めて鍵をかけた。

自分に嘘を付くみたいに。

3: 俊雪‐シュンセツ‐ [×]
2014-06-04 11:28:32

翌日また同じ景色が窓の外に広がった。 違うのは彼が私服でこちらを向いていたこと。互いに気が付いていたが私は出なかった。そんな日が3日ほど続き、仕方なしに私は出かける準備をした。

この時のことはよく覚えていない。ただ、初々しく距離感を保って何でもない会話をしていた。
毎日。飽きもせず。 そして彼を不登校に巻き込みたくない私は学校へ通うようになった。

事件が起きたのは私が通い始めてから間もなかった。
ある生徒が私をからかった。
たった一言だけからかった。
‐汚い‐
と。
私は彼を見つめた。
それで彼の世界が歪んだ。
彼は暴れて手当たり次第に怒りを露わにした。そして同級生に大怪我をさせ入院させてしまった。
私はまた不登校になり、彼は転校し、心に苦しみを抱えたまま別れ、引きこもってしまった。

長々と事例をあげてもつまらないので端折るが、以降も堕落は続いた。

次は普通の仲の良い双子の弟。通学の電車で毎日見かけただけだったが、弟と進展した。ある日兄から弟が行方不明だと連絡がきた。私のことで仲違いしたと、私は兄と共に弟を探した。ある公園にあがる階段の上で見つけ駆け寄った。弟が掴まれた腕を振り払って兄を押した。後ろは階段。兄は想像通り転げ落ちた。それから数年同じ電車を利用していたが兄の姿を見ることはなかった。
ある司法修習生は私が原因で数年の努力を無駄にし
ある弁護士は家を捨てた。
ある先生は仕事を失い
ある女性は心を病んで入院
ある青年は女性に刺され
ある青年はとうとう自殺をした。
一番愛した青年だった。何の汚れもなく身寄りもない。透き通るような白い肌に絹糸のような髪、吸い込まれそうな漆黒の瞳に繊細な睫毛、赤い唇は中性的で骨ばった身体…細身なわけではない、彼の骨格が大きいのだ。存在そのものが私の感性に触れた。
私は小学生の頃から人の内部を愛でる傾向にあった。初めての興奮は『人体の不思議』と言う書籍だった。以来私はそういう意味での内部を欲していた。
プラトニックな関係だったが、私は彼の全てを把握していた。黒子の位置から数、第七頸椎の感覚、総指屈筋を割くようにある傷跡、左手首の骨折の痕…これらは虐げられた痕だ。私は全てが欲しかった。
いや、全てを奪いたかった。毎日のように身体中の骨に指を這わせ、痛いくらいに噛み 、内部の感触を感じ安心していた。

4: 俊雪 [×]
2014-06-04 12:50:40

そして毎日のように全てを奪いたい、でも奪ってしまったら今の美しさを私が崩してしまいそうで怖い、と囁いた。彼の美しさは危うかった。崩れそうで崩れない絶妙なバランスを保っていた。
答えるように彼は私に全てをさらけ出してくれた。 全てを私が受け入れそれが私の至極の悦びだった。
それだけの日々が1年ほどしたある春のこと、彼は私を桜並木に誘い出ししきりに私の写真を撮っていた。
‐どうしたの?今日はいつもより楽しそう‐
‐僕はね、幸せなんだよ‥‐
‐…私も幸せよ?‐ ‐残念だけれど、僕のが幸せなんだ。だって……‐
そう言って私をガードレールに座らせてかがんで覗き込んだ。
‐なぁに?‐
‐…大丈夫だよ…僕は君を連れて行くから‐

何故かひどく安心した。私は潜在意識で彼の決意に気が付いていた。
その夜、私は彼の美しさのバランスを崩した。いや、崩したのは後のことで‥崩す過程が今までに見たどんなものよりも美しく神秘であった。
神秘故に美しいのか、単なる廃退の美か…完璧は美しくないのだ。
現にモナリザは非対称。
バルテュスは少女のなんとも言えぬ絶妙な表情に魅了され孤独と対峙した。
もっとわかりやすく言えばコピー用紙。日本人は諸外国に比べ童顔を好む傾向にあるのだが、日本人にとって縦と横の比率が一番美しく見えるのが
コピー用紙の比率だ。
正方形ではなく。

私自身、骨格標本のような骨格よりも
彼の傷跡や骨折痕が愛おしかった。
その美しさが自分によって乱れ、崩れる様が快感であった。
なんて愚かな…
脳裏にアダムとイヴが浮かぶ。
彼等は最後にして完璧であった。故に裸体を描かれてもそこに性的なものが無いのだ。
しかし彼等は堕落する。それは罪…美は美だけでは成り立たない。
美と対になる闇、つまり醜さ、アダムとイブでいう人間性を伴ってこそ完成される。
わかるだろうか?
…私はこのとき初めて自ら愛する存在を一種堕落させた。
この罪の意識は私を興奮させた。
そして日が昇る頃、彼は私の髪を撫でて囁いく。
‐君は僕の全てを奪えたかな…もし、そうなら‥誰よりも幸せだ…僕も君も‐
とても穏やかに言うので何故か何も言えなくて優しく抱き合った。 そして彼が行かねばならぬ場所があると言うので見送った。去り際に今までで一番優しいキスをして。 背中を見つめる。初めて見た時と何も変わらない美しさがあった。むしろ…今のが美しい。

5: 俊雪 [×]
2014-06-04 14:41:55

背中が見えなくなり私は座り込んだ。
堰を切った、ように涙があふれ動けない自分が情けなかった。
ならばなぜ止めないのか、無理だとわかっていても止めるだろう、それは理屈。 理屈では済ませられないことだった。
彼も私と同じように狂気を抱えていたことを知っていた。知りながら知らないふりをしていた。

‐僕はね‥一生を一人に捧げると…決めているんだよ‐

雨を浴びながら儚げに天を仰ぐ姿。
それを見て、私は初めて息を呑んだ。息を呑むとはこれか…と。
無言の私を雨が打ちつけ彼には優しく降り注ぐ。
圧倒的な存在の違いを思い知った。
彼は神聖なものだった。一方私は…。

その記憶だけが嫌に鮮明だった。
私は泣き崩れたまま何時間過ごして居ただろう。私もあの場所へ行かねばと思い向かう。
初めて会った場所へ。
都内のターミナル駅。肌寒い早春の雨。私は傘も持たずに来てしまった…。駅の出入り口に彼は座っていた。ただ、座っていたのだ。 私は何の用もなくその付近を歩いていた。そしてなぜだか彼と目が合い離せなくなった。彼の前で立ち止まる。 彼は立ち上がりしばしの沈黙。
‐雨…ですね。‐
‐はい…あの……‐ ‐歩きませんか…‐ ‐…はい ‐

闇雲に歩きながら会話をした。不思議な会話だった。
‐…傘…入りますか‐
‐…はい。…あの、大丈夫ですか?‐
‐…実は、そうでもないです‐
‐何かありましたか?‐
‐ああ…待っていたんです‐
‐え?…待ち合わせのお相手は?‐
‐いません‐
‐心無にして心重たし、ですか?‐
‐変な人ですね。僕を、僕の内側を見ようとするなんて‐
‐あなたは違う世界を見ているんでしょうか‐
‐…僕は…捧げる人を待っていたんです…君かもしれない‐ ‐呼んだのはあなたでしたか…‐

あんな不思議な会話は初めてだった。まるで昔からその日出逢う事を知っていたような‥これからの未来が見えているような。
また、あの場所に行けばリセットされるかもしれない、リセットして繰り返したい。しかし…リセットする前に彼は消えてしまった。服のポケットにありったけの写真を入れた状態で。
彼は私をしっかり連れて行ってくれた。
写真の中に封筒が…。

6: 名無しさん [×]
2014-06-04 14:48:06

文章上手いし書くの早いっすね

7: 俊雪 [×]
2014-06-04 16:37:01

‐僕は君に全てを捧げることができたでしょうか、もしできたなら僕は満足です。
最初から決めていたのです。
これを言うとあなたは不機嫌になりますが、僕は君に釣り合わないんだ。

だから、自身がなかった。逃げる僕を卑怯だと言いますか、こんな卑怯を許してください。
僕は君みたいに綺麗じゃない。
卑怯なくせに、君が僕以外の誰かを愛する姿を見たら
壊してしまう。
君のことを…。
けれども卑怯だから 君を僕に縛り続ける自信がなかった。
君はよく言っていたよね。
『あなたは美しい。でも私は…』って
それは違うよ。
僕が僕を捧げたいと思ったんだ。
誰よりも美しく尊いに決まっている。そうだろ?
じゃないと僕は
美しくない人に僕という人生を捧げた可哀想な人間になってしまう。
お願いだから悲しみから解き放たれて欲しい。
僕を可哀想にしないでおくれ …
愛してくれたのなら
どうか、幸せになってください。
そして、僕を忘れずに幸せな思い出にしてください …。
愛しています。
愛しています。
愛しています… ‐

私は泣くのをやめたかった。
涙はとどまることを知らず、頬を濡らし 大切な手紙を濡らす。
文字が滲んで
まるで私の記憶を不鮮明にしていくようだった。
私も彼も互いに
君は美しい、それに比べて自分は…
と思っていたんだ。
こんなに愛し合っていた
こんなに求め合っていたのに
自分から相手を別の世界に住まわせていた…。

なんて愚かな…

人に自分を捧げるという狂気

人そのものを奪いたいという狂気

きっと出逢う前から結果は決まっていた。

悲しくて
悔しくて
怒りに満ちて
切なくて
愛おしかった

だから…運命を恨めなかった。

だからこれを

愛と呼ぶことしか
できないのだろう。
私は彼に手紙の返事を書いた。


8: 俊雪 [×]
2014-06-04 16:39:46

名無しさん、
お読みになってくださると思いませんでしたので、素のまま書いていました。
お褒め頂けたので飾らずに書き続けようと存じます。
ありがとうございます。 嬉しいです。

9: 俊雪 [×]
2014-06-04 22:00:57

‐覚えていますか
初めて会った日のことを…
私はあなたを見つけた時から
見えなくて逆らえない力に引き寄せられていました。
あなたが居なくなって運命だとしりました。
ずるいです。
あんなに美しいままで去ってしまうなんて…
でも、私もずるいですか
じつは写真を撮られているとき気が付いてしまったんです。 あなたはあまりにも、透き通っていた
清らかすぎたんです。
一点の曇りもなかった
ああ‥あなたはやりきったのね‥
そう思った瞬間
私は決めたんです。
あなたの死の邪魔をしたくない
それがあなたの美意識なら
どうか悔いなく…と
なにより、苦しみから解放してあげたかった。
人には理解できないでしょう。
でも良いのです。
私だけが理解していれば良い
私以外理解しなくても良いのです。
だって
これでやっと
あなたを私だけのものにできた。
狂っていますか
それでも構わない
私たちが生きるには枠が邪魔だったのよね…?
枠が私たちを苦しめた。
枠という枠
言葉という枠
常識という枠
理性という枠
周囲の目も枠
身体という枠
魂があるなら
魂だけで生きたかった
2人で生きることは
枠の中では不可能だった。

きっと…あなたは幸せな最後だったでしょう?
こんなに私を苦しめて
本当は喜んでいる。 私の気持ちを
こんなにもあなたに縛りつけて
どんな言葉を並べでも無駄ですよ?
私はあなたの内面に触れました。
あなたが自分を捧げたいという狂気の
本当の理由
それがあなたの本当の目的

『一人だけに誰よりも深く愛されたい』
違いますか
違いませんよね
だって
あなたのことを世界の誰よりも愛している私が言うんですもの。
なんて純粋な
なんて謙虚な望みでしょう

最後に、悲しんだりしませんよ
私はあなたの幸せが一番幸せです
あなたが幸せだったというなら
これは枠のある世界で一番幸せなことなのです。
私も愛しています。 どうか、安らぎを
どうか、静けさをあなたに。
愛しています。‐

私はその手紙を桜並木に埋めた。
あの場所であの日の2人が生き続けるように。

そして今の私は…。

10: 俊雪 [×]
2014-06-04 23:31:52

何度目の春が終わっただろうか
泣き通す夜を越え
心に蓋をする日々を越え
向き合う期間を経て 受け入れている。

もちろん幾度となく過ちを犯しそうになった。
だが何をしても**ないのだ。
数回、数十回繰り返し諦めた。
どうやら私は生かされている。
幸せにならないと**ないのだと思う。

さて、狂気の話しだが
おわかり頂けるだろうか
狂気と名がついているものの
狂気とは、いかに純粋か。
そして純粋がどれほど残酷か。
純粋故に残酷
残酷の根底には必ず純粋が…。
無償の愛
それは
非情な愛

多くの人はハイリスクで踏み込めずにいる。
しかし、誰しもが
踏み込む可能性と隣り合わせだ。
狂気などと言うと
普通とはかけ離れているように感じるだろう。
しかしそうではない。
普段死の危険が隣り合わせだと恐怖しながら生きないのは
安全に見える世界に慣れすぎていて死が身近でないから。
それと全く同じだ。
しかしどうだろう
狂気が純粋だと知った今
自分が逸脱した人間にならない自信がおありか
答えは聞くまでもないはずだ。
おそらく、些細なきっかけで枠の外にはみ出しているのだ。 気が付かないうちに。

私はなぜあのような経験を踏んだのだろう。
『物事には必ず理由がある』
『越えられぬ困難を神は与えない』
それが正しいならば必ず何かある。

全て私の想像にしか過ぎない。
だが、多目にみて聞いて欲しい。

これはきっと
人生の見え方が変わってくる話しだと思う。

11: 俊雪 [×]
2014-06-05 01:03:48

書くにあたり少し頭の中で考えてみた
やはり然るべき道だったと思う。

ここまでの話しを
とても大切な人に聞いてもらった。
大切な人を、以降
『陽太‐ヒナタ‐』と呼ぶ。
すると、陽太は

二人の関係を見ていると、もはや運命と言うのさえも失礼にあたる気がする。
運命とか関係なく、二人が自分たちのもつ力で強烈に惹かれあったんじゃないかと思う。
むしろ運命すら変えて、運命を捻じ曲げて出会ったかのような…。
と…。
きっと陽太は不安だろう。
しかし私は脳天気に『陽太は文章力あるやないの』
なんて思っていた。


私は彼に出逢い、狂気の心髄に触れた。 彼は私に出逢い、狂気から解放された。
それだけだろうか。 もし、全ての運命が一本の線で繋がっているのなら
彼に逢わなかったら陽太と私も出逢っていない。
彼は陽太と私の関係にも影響しているだろう。
では彼と出逢わずに陽太と出逢っていたとしたら…
私は己の狂気に向き合わぬまま、陽太を狂気に染めていたかもしれない。
もしかしたら、彼が『この人なら…』と陽太と巡り合わせたかもしれない。

ではなぜ、彼が先だったのか
確かに、狂気が、互いに呼び合っていたかもしれない。
しかし最近は…どうも
『私が陽太を狂気に染めずに済むように』
彼が私を呼び寄せた気がしている。
彼は私の幸せの為なら何でもする。
彼は私の狂気を見抜き、いつか大切な人を失い嘆き悲しむとわかっていたのではないか
彼は見えている世界が違う人だった。
透視ではない。単に危うさを見たのだろう。その点自分なら一生添い遂げる強さはない、しかし私を幸せにしたい。悲しませたくない。
けれども、悲しい死ではなく幸せな死で終わらせることができる。
故に、彼が先出なければならなかった。
運命を盲目に信じるわけではないが
信じても不都合がないならば
こんな考え方をしたって良いではないか。
陽太は少しでも安心してくれるだろうか

陽太は…私の大切な人だ
陽太に不安になられてしまっては
彼の死も
私の時間も
陽太の愛も
悲しんでしまう。

『だからどうか、悲しまないでおくれ』

次はそうだな

私の狂気の根底について語ろうか…。

12: 俊雪 [×]
2014-06-05 12:02:42

ある小説によれば写真家や人形師は人間を模範していると語られていた。

ならば私も同じなのだろう。

私は絵を描いていた。アニメのような絵ではなく
厚塗りを。
昔は風景画ばかり描いていた。
しかし人体を好むあまりキャンバスの上に骨から人体を描きあげる喜びにたどり着いた。

骨の位置や形をとりながら肉を付け
髪や睫毛を一本ずつ毛の流れを考えながら描く
眼球には最も気をつかう。
瞳孔
虹彩
光の反射
目蓋の粘膜
血管

肌に静脈と動脈を描き入れる瞬間
命が吹き込まれるようで
私の中枢が痺れる。
人間そのものを自らがのものにしたい。
美しい人間のそのものが欲しい。
それが私の狂気の延長線だった。
どういうことかと言うと、嘘や保身の無いありのままの本質を受け入れたい。
世間が異様だと言うような本質も
さらには本人が知らない本質さえ
私の手で拓かせたい。
そして、私にしか受け入れてもらえないと思わせて
精神的な監禁をしたい。
決して私から求めてはならない。
自ずと私にさらけ出すよう
仕向けねばならない。
でなければ、意味がない。
私は受け入れること 受け入れたと見えるが、奪っていることに悦びを見る
それが私の狂気なのだから。

目に見えているものはさほど重要でない。
見えないもののほうが多く、尚且つ人間を作り上げる要素だ。
ではなぜ内面に
こだわるのか
それは最近まで自分にもわからなかった。
しかし延長線である絵を描くうちに理解した。
私の絵を誰かが私以上に愛することは出来ない。
なぜなら私は絵の人物の内面を構想しつつ描きあげているからだ。
人物の全てを知っているのだ。
美しい面だけでなく汚い面さえも。
人物が抱える闇さえ、全てを。
しかし、二次元でそれを表現するには限界がある。
画力の限界と言う意味でなく
画の限界だ。
故に、生きた人間を誰よりも愛するには生きた人間の内面全てを知らねばならない
。私の狂気の根底は
誰よりも愛することで、支配したい。
裏を返せば
愛され必要とされたい。
そこから分岐し様々な狂気に成長するのかもしれない。

私が画の限界を知ったのはある人物に会ったからだ。
その人物は自分の狂気に溺れてしまっていて
おそらくもう抜け出せない。
次は狂気に溺れてしまった者の末路を紹介しよう。

13: 俊雪 [×]
2014-06-05 15:10:03

狂気を誰しもが持ち合わせていることは話し、解釈していただけたと思う。
私もその一人であり彼もそうだった。
彼は狂気に狂う前に自ら幕を引いた。
そして私は狂気に気が付き理性を留めた。
しかし、私は一人だけ狂気に狂う天才を見た。
あまり長い付き合いになると気が伝染するのではないかと恐怖し疎遠になったが それだけあの人の気はあの人を包んでいた。
気があの人を覆っていた。

あの人…男性でも女性でもあった。
心は女性だった。
私とあの人は絵を通して知り合った。
初めてあの人の絵を見た時、私は圧力を感じた。 正直怖かった。あの人のか細い声とは裏腹に重たい絵だった。
人物画ではない。
林檎に描かれた人間の瞳
渦に飲まれる胎盤
雫に閉じ込められた心臓

おそらく闇を描いていたのだ。
自分の心の闇を描いて解き放っていた。解き放つために描く 描くために闇を生む そうやっていつしか闇に飲まれいつしか抜け出せずに解き放つ快楽に溺れていく。
あの人は見えないものに触れる悦びを知っていた。
推測だが、見えないからこそ美しいのだ。
あなたが見たことのない場所を私が言葉巧みに説明する。
見渡す限りの緑の世界
初夏には風が通り抜け
青々しい香りが全身を包む。
小さな命が草を揺らしながら生活し
私たちはそれを壊さぬようただ見つめる 水の流れが耳に優しく
時折聞こえる鳥の羽ばたきが爽やかだ
さぁどんなに美しい
景色を想像しただろうか

残念だが私の家の裏にある普通の田園風景だ。風情ある山が近くにあるわけでもなく
どちらかと言えば寂れている。

おわかりか、人間の脳は都合よく補正する。自分が想像できる限りの最も美しいものに。

だから私たち絵描きは『ものの見え方が違う』と言われる。 実態のあるものに潜む実態の無いものを見ている。それを見なければ、実態そのものを正しくとらえられない。
そして実態の無いものをとらえて描き上げた画は
私たちの補正を受け 『実態そのものよりも美しいもの』になる。
そしてそれができた瞬間、私たちにとって実態そのものは
いきなり劣化したように思えてしまう。 幸い私は描くという狂気はなかった。
故に美を求め過ぎて狂うことはなかった。
しかしあの人は天才というか鬼才であった。あの人の才能だけではない。自然さえもが才能を後押しした。

14: 俊雪 [×]
2014-06-05 17:03:14

私たち絵描きは時折 予期せぬ偶然に助けられる。
私はデジタル専門故にそうそう無いが
あの人はアナログで屋外で描いていた。
故に、突然の雨に濡れ滲むことや
手が滑ることもある。その偶然が美しい滲みや線を生む。
私のような凡才は腐るほど居る
天才は居る。
逸材も居る。
しかしあの人は
鬼才だ。
鬼才はなかなか居ない。
そうそう居てもらっては困る。

あの人が何故
狂気に狂うことになったのか
それは普通の事だったかもしれない。
没頭しすぎた。
もし、それだけだったならば
私は何かに依存することが恐ろしい。
依存することでまたくすぶっている何かが燃えるのではないか
本当はすぐそばまできているのではないか
不意に不安になる。
そして、私の近くに居る人間を、またもや溺れさせてしまうのではないか
と怖い。
そのくせに、私は人間から離れられない。
人間などみんなその程度だろう。
結局のところ
自分からは誰も逃れられない。
人を傷つけずに愛せない。
傷つかずには愛せない。
誰かの涙の上で私たちは笑っている。
涙の主も誰かの上で笑っている。

慣れすぎて罪悪感など忘れてしまったのだろう。


15: 俊雪 [×]
2014-06-17 00:59:41

あなたは本当に来るのだろうか、夢か現かわからないような、不安と期待が入り混じって私を満たしていた。太陽が真上に登り、ひどく反射光が目に染みる。道路が熱されているのに無機質で冷たく見える。時期にしては早い夏日は私のほだされた恋煩いにも似ていて、表面は日常を演じる姿はまさにアスファルト、しかし実は路肩の草のように内々は様々な感情が心を乱雑に茂っていた。
あなたは来るのだろうか、いや、疑いはしていない。しかし会えることが嬉し過ぎてキャパを超えてしまっている。故に頭が追いつかないでいる。
連絡をまちながら駐車場の日陰に落ち着きを探す。座り込んでみたり、立ち上がってみたり、寄りかかったり向きを変えたり意味なく歩き回ってみる。ほんの数分が長い。この数分さえあなたが居れば数秒に思えるのに。 何度目かの屈伸運動の末にその時は訪れた。
待ち合わせ場所に降り立ちあなたは遠くからでも美しいのがわかり、私を混乱させた。 あまりに美しくて直視できない。圧倒されて手が震えた。

16: 俊雪 [×]
2014-06-17 09:36:25

いてもたっても居られなくなり、俯くことしか出来なかった。視界の上の方に歩いてくるのが見える。足音が届く距離になると私の鼓動が聞こえてしまうのではないかと心配になった。うるさかったはずの喧騒も聞こえなくなり、急に空気が身体にまとわりついてきた。
あなたが名前を呼ぶ。
嗚呼‥溶かされてしまう。何か言わなければならない、なんとか顔をあげなければならない。
大事な時に限って何も言えなくなるもので、ひたすら頷くしかなかった。

-大丈夫…?-

な、はずがない。饒舌な私が黙り込んでいる。身体が熱くなって息が苦しいのに熱が外に出ない。
あなたと私の間の僅かな距離。手を伸ばせば触れる距離が近いような、遠いような、もどかしさで愛おしい。臆病になりながら少しだけ手を伸ばしてみる。告白する時はこんな気持ちになるのだろうか、受け入れられるか不安で仕方がない。期待と後にひけない焦りとで泣きたくなった。
指先が触れ合う刹那 そこから弾かれたように身体が軽くなった。安堵が広がるように、新鮮な酸素が送り込まれたように。


17: 俊雪 [×]
2014-06-17 22:37:42

繋がれた手のひら、それは日溜まりを包んだかのようで、その上とても力強く私を捉えた。
少し後ろを歩きながらあなたの横顔を見つめる。
ほんの少し後ろ、そこが私には居心地が良かった。
線路沿いを無言で歩く。田舎らしい静けさと平坦さの中で密かに燃える二人がこのまま誰からも見えなくなってしまえば良いのに、と‥そう思っているのはあなたも同じだと信じていた。
歩く道の上を真新しい道路が横切っている。その道路へと続く長い階段に座り畑を見下ろす。ジオラマのように小さく動く町の生活は現実を切り取ったかのようで他人事に思えた。町並みが非現実的なのかあなたと居られる僅かな時間が非現実的なのかどちらでも良かった。
どちらにしても求めていた存在が此処にある。いかに批判されようとも絶対的な存在、私にとってはそれがあなただったから。
太陽が少し傾き、階段の影を削る。時間が経過した証拠だが影の減少は私たちを近づかせた。

-田舎って良いな…-
-何もないでしょう?高い建物も‥-

-田舎だね‥静かだ‥落ち着く‥-
-なんにもないからね‥畑や田んぼはたくさん-

田舎って、田舎って‥なんど同じ会話をしたことか、私たちは会話の内容を見つけられずに居た。しかしそれは退屈でも焦りでもなく、ただひたすらに穏やかだった。
本来、共にあるべきものが揃ったかのように、今更新しい会話など必要無いかのように。
ふと目が合えばどちらも目をそらしてしまう。あからさまに話題を考えて切り出したり、指先を絡めなおしたり。
時折強く吹く風があなたの香りを濃く薫らせて色香のように私を翻弄する。
あなたは残酷な人だと初めて知った。
香りが一番強く残る記憶だというのに。
あなたはこれから先一生私のそばに居てくれますか、保証してくれますか、もし失ってしまえば、似た香りで毎回私の心を苦しめるつもりですか

そう、言いかけてやめる。嫌われたくないからこそ愛の強さを伝えない。あなたの余裕そうな穏やかな顔が私の臆病さを強調した。

18: 俊雪 [×]
2014-06-19 23:23:29

階段の手すりに寄りかかりながら平坦な景色を見下ろす。
頬を風が撫で、初夏の香りを運ぶ。
ミントのような色合いのスカートがなびき、あなたの方へと流れる。
車両の短い電車が下を走り規則的な音を鳴らす。 その中で確かに私を呼ぶ声を逃さなかった。
振り向いた刹那
私は唇を奪われる。 それは一瞬で永遠のもの。求めていたはずなのに、思考は止まりどんな顔をすれば良いのかすらわからず、どんな顔をしているのかさえもわからなくなった。
初めての感覚。人の思考はこんなにも止まるものなのか…。 しばらく呆然としていると、私を優しく包み込みそっと撫でた。我に帰ると止まっていた思考が嘘のように一瞬だけ見えたあなたの
射抜くような瞳が
獲物を捉えたような瞳が
リフレインされて熱があるかのように鼓動を速まらせた。
そして急に恥ずかしがるように私を離して階段を2、3段上ると静かに顔を上げた。
私はそれを忘れない。
間違いない。
それは、とても美しいものだった。
天に堂々と栄える太陽の光が
8分17秒前の光があなたの眼球に吸い込まれ
虹彩線まで見えてしまいそうなほどに透き通らせて輝いていた。
その瞳が私を見据える。
自分が見られている事など忘れ、まばたきすら忘れて見つめ合う。
数秒の出来事だが、私には永い時間で身体が浮くような感嘆を覚えた。
その瞳がそらされ
耳まで赤く熟れた横顔を愛おしいと思ったと同時に寂しくなり思わず心の声が漏れてしまった。
こんなこと言うつもりではなかったのに


-ねぇ…もう一度
…こっちみて-




19: 俊雪 [×]
2014-06-20 12:55:01

ちょっとここからは真面目に書きます。

20: 名無しさん [×]
2014-06-20 14:55:44

小説の読みすぎで妄想がリアルを飛び越してるね
絵描きじゃなくてポエマーでしょ?
妄想癖重症
小説家目指してたけど無理だった人?
それとも自分に酔っちゃってる人?

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