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個人用・練習用
自分のトピックを作る
■:
櫻田 コノハ [×]
2014-05-02 21:11:46
「 暑ッ ! 」
そう、全てはこの僕の一言で始まった。
とある蒸し暑い夏の真夜中の出来事...
1:
櫻田 コノハ [×]
2014-05-02 21:21:59
[ ◆ 壱 ]
「はッ!?ふざけんなよ,この野郎!」
暑い、暑い暑い暑い。
もう倒れそうな程暑い真夜中の自分の部屋で僕は一人、
扇風機と格闘する。
12年間も愛用していた自分から見て可愛い扇風機が
ついに寿命を迎えたのである。
窓を開けても入ってくる風も無い、エアコンも何故か自分の部屋にだけ無い、
この可愛い扇風機の他にヨロヨロの自分と戦ってくれる勇者等...いないのに。
その扇風機は12年前、4歳の頃に親がボロくなった扇風機の代わりに
新しく生まれる弟の事も考えて羽のない扇風機に買い換える時にもらった。
4歳にしてmy扇風機を手にした自分の感情は尋常じゃなかった。
友達に自慢したり、犬に自慢したり、とりあえず接点ある人には言いふらしまくったのを
覚えている。
で、とりあえず...
こんな猛暑の夜を寝てすごせと言うのか、地獄だ地獄。
遠まわしに死んでくださいと言っているのと同じだ。
お願いだがら羽さえ回れば良いから、風なんて起こさなくて良い、
寿命なんて迎えないで後もう少し、もう少し頑張れ。
頭を叩いたり少々揺さぶったりして扇風機に衝撃を与える、も
何も変化無し。
がっくり項垂れる僕。と、そこに一つの名案が浮かんだ。
そうだ、神社行こ。
2:
匿名 [×]
2014-05-02 21:30:15
ううう、上手いっ!ファンになりそう。楽しみにしてます!コメ失礼しました。
3:
櫻田 コノハ [×]
2014-05-02 21:40:51
何故神社が名案なんだ、と言うと
とりあえず一番家から近くて涼しいから。
としか言いようが無い。
コンビニなんて近くにないくらいの田舎だし、
エアコンのある友達の家に行こうとも思ったけれど
真夜中だから行くのは迷惑だろうし、
後、人に迷惑をかけてまで涼むのは個人的にはどうかと思う。
店員さんとか、友達とか...
とりあえず、尻ポッケに財布と携帯と鍵を突っ込んで
親と姉と弟にバレないように家を出た。
と言っても風は無いが思った以上に少しヒンヤリした。
心地良い寒さよりは暖かく感じるがまぁ真夏だし仕方ない。
とりあえず延々と静かな道をてくてく歩く。
僕は鼻歌でも歌いながら学校の事とかその他諸々を考えながら
ゆっくり足を神社に運ぶ。
途中にあった自動販売機で炭酸飲料を買って少しながら生き返れば
また神社までの道のりをひたすら歩いた。
10分ぐらいだろうか、まぁさほどかかってはいない。
薄暗くてはっきりは見えないが少し遠くに神社の鳥居を見つけた。
鳥居、鳥居...鳥井...
鳥井麻美子。僕の席の隣の女生徒で平成ながらも
綺麗で艶やかな黒髪をおさげにして眼鏡をかけ、
校則を守った制服の着方を唯一守る完璧優等生少女だ。
皆、優等生の彼女に馬鹿にされるんじゃないかって怖がって
近寄らない、そんなちょっと近寄りがたい存在でもある。
僕も始めは近寄り難かったけど案外普通の女の子だった。
可愛い物が好きでぬいぐるみとか小物を集めてるんだっけ?
自分でも裁縫で何か作ってるって言ってたな。
僕は裁縫が苦手、まぁ不器用っていう王道な理由もあるけど
それ以前に集中力の問題もあるのかもしれない。
そんな事を考えている間に先程はぼんやりだった鳥居も今では
もう目の前にあった。
4:
櫻田 コノハ [×]
2014-05-02 21:42:43
>2様
コメント有難うございます!!
嬉しすぎて目からコーラが...←
これからも出来る限り更新いたしますので
是非、お時間あれば覗いていってください!!
最後に本当に有難うございます!
5:
櫻田 コノハ [×]
2014-05-02 21:56:29
鳥居の前に立ち、足を止める。
とりあえず神社まで来てはみたものの、
この先奥に入るか入らないか迷う。
もうこの変で終わりにしてまた来た道を戻って
少々の暑さという苦しみに耐えながらも寝るか、
それとも涼しくて快適な神社の奥に寄るか。
その答えは僕のとある一つの行動で決まった。
僕は空を見上げた、とそこには
満天の星空があった。凄い、これは凄い。
「...うわぁ,すげぇなおい!」
僕は一人、無邪気に星にはしゃぎながら迷わず鳥居の奥に
吸い込まれるように入っていった。
神社で腰をおろして炭酸飲料でも飲みながら空を見上げて
星の観察でもしようじゃないか!
そう考えたのである。
ズンズンと暗くて少々気味悪い神社の方へと入っていく。
やっぱり神社に来て正解だった。
凄くひんやりして気持ちいいしここは楽園か、というくらいの
快適さである。うん、神社最高。
さわさわと揺れる木々を抜けて僕は神社に
たどり着いた。近くの石段に腰をおろしてふぅととりあえずため息。
携帯を開いて時刻を見る、深夜2時ちょい過ぎ。
親が起きるのは早くて6時30だからまぁ少しは寝たいし5時に帰れば良い。
携帯をまた尻ポッケに入れてグビグビと炭酸飲料を飲む。
ぷはぁ、やっぱり暑い夜に星を見ながら冷たい飲み物は合う。
僕は生まれて初めての夏の夜のこの出来事を悪くないな、なんて思いながら
このパラダイス時間を満喫する。
それにしても僕ってなんて悪い子なんだ。
どんなに馬鹿でもこんな真夜中に出歩くなんて事はないだろう。
しかも人一人いない暗い神社を涼む場所に選ぶ人なんて。
今までこんな事、考えたこともなかった。考えたとしてもすぐに僕は
くだらない、で終わったかもしれない。だって、だったら寝て体力温存したいし。
それに怒られたくないし...
でも、なぜだか今の自分は違う。なんていうか、この時間を凄い楽しんでるっていうか。
こんな事になったのも、あの可愛い、元僕の扇風機のおかげだ。
最後まで何かとお世話になった、有難う。
僕はまたも口に炭酸飲料を大量に流し込む。
6:
櫻田 コノハ [×]
2014-05-02 22:14:19
「...あのッ,草鷺クンですよね?」
不意に後ろから肩を軽く叩かれた。
手からまだあと少し炭酸飲料が入っていた缶が落ちる。
何だ、誰だ、何で僕の名前を知っている...。
しかも女の声...もしかして、もしかしてたけど、
「ゆ,幽霊ッ!!??」
パッと振り返る。と,そこにいたのは...
僕のいきなりの振り向きに驚いた鳥井麻美子であった。
僕の自分ではわからないが多分、凄い形相に驚いているので
あろう。大きく口を開けて目は見開いて不自然な格好で
固まっている。
僕は鳥井の肩を揺さぶりながら心配そうに彼女を見る。
と、数分後、魂が抜けたかのようにヨロヨロと座りこむ鳥井。
どうしたのだろうか、少し気持ち悪そうだ。
僕は相手の背中をさすりながら「落ち着け,な?」とか
良くわからないけれどまぁそんな対応をとって相手がしゃべり
だすのを待った。
に、してもなぜこんな場所に鳥井がいるのだろうか。
完璧優等生少女までもが真夜中に一人でコソコソ...うーん、想像出来ない。
まぁちょっと不良っ気入った綾凪とかならまだわかるけど
皆公認の優等生が...
「ごめんねー,私,あんまりびっくりしちゃうとなんていうか
動けなくなっちゃうの...」
数分後,鳥井が静かな声で僕に言った。
びっくりして動けなくなるなんて,そんな...
鳥井は苦笑しながら目の前に転がる前まで僕が飲んでいた飲み物の
缶を見つけてアワアワする。
「わッ,どうしよう...本当,ごめんね,なんか買ってくるね!」
と立って歩きだそうとした彼女の腕を僕はガシっと掴む。
「ちょっと,話そうよ、」
7:
櫻田 コノハ [×]
2014-05-03 08:46:17
聞くところによると彼女も
自分の部屋のエアコンが壊れ、親の部屋に行こうと
したところ、寝る気分になれず、仕方なく初めての体験
であるが夜の神社に行く事を決意したらしい。
まったく、あの優等生が僕と同じ考えをしている事は
少しショックだった。
んで...
「草鷺君ッ,本当に飲み物,良いの...?」
今のところ、鳥井はなぜか僕の飲み物の事を
気にしているらしくさっきから可愛らしい猫型の財布
を握りしめてモジモジしている。
なんつーか、可愛い...
「んぁ,良いよ,気にしないで.それに金ならまだあるし、」
僕はニコっと彼女に微笑んだ。それでもまだ下をうつむいて気にしている。
買わないと気が済まないのだろうか...それに事実,ちょっとずつまた喉が渇いてきた。
僕は立ち上がり「飲み物,やっぱ買いに行こうか、」と呟きしゃがんでいる彼女に
手を差し出した。その手を握って立ち上がる鳥井。
暗くて静かで薄気味悪いところで彼女とはぐれる訳には行かないよね、そんな
都合の良い考えを思いついてとりあえず来た道を引き返す。
「鳥井,何が良い?」
自動販売機の前で彼女に問う。
「えッ,待って,飲み物は私がおご...」
「良いから,ほら,後10秒で答え...」
「じゃあお茶で...」
僕は120円を入れて彼女が指差したお茶のボタンを
押した。出てきた冷たいお茶を彼女に差し出し自分は
スポーツドリンクを選んでまた神社の鳥居の中に彼女と
手を繋ぎながら戻っていった。
8:
櫻田 コノハ [×]
2014-05-03 08:52:40
「うぅーッ,美味しいッ!!」
隣で鳥井の感激の声が聞こえる。
それは良かった。彼女の微笑む顔を見て
自分の口角が段々緩んでいくのがわかった。
「本当,有難うね.後,ごめん...本当は私が奢らなくちゃいけないのに...」
気にする彼女に僕は「気にしないで,」と声をかける。
空を見上げ天の川を発見する。
それにしても今まで星なんて気にもしなかったな。
なのに改めて見るとなんていうか、凄い感動する。
それはきっと隣の彼女も同じなんだろう。
ワァッ...と声を出して星空を見つめている。
天の川って凄いよな、星があんなに集まって出来てる...
僕はなぜだか昔、姉におんぶしてもらって泣きじゃくりながら
夜の公園を出る自分を思い出した。なんで今、そんな事思い出すんだろう。
そうだ、その時も確か、泣きじゃくる僕をあやそうと姉が天の川だよ、とか
すごいね、とか色色星にまつわる話をしてくれたんだ。
まぁ、その昔の事が今になっては弱みっていうか
「前にあんた,あーゆー事あったよねー?」とか
「昔,あんたをおんぶして夜の公園に付き合ったのは誰よ!!」
とか言われるようになってしまったんだけど...
9:
櫻田 コノハ [×]
2014-05-05 20:49:51
まぁ、そんなこんなで色々時間は経過して
午前3時を時計の針が回ろうとしている時だった。
鳥井と僕とで担任の教師の話題で大いに盛り上がって
あ、鳥井にもこんな一面あるんだな、って気がついた時だった。
「アッレー?もしかして,草鷺と鳥井サンじゃない?」
不意に名前を呼ばれて僕と鳥井は固まる。
え...誰...でもこの声には聞き覚えがある。
なんていうか、毎日一緒にいるグループの仲間の声じゃ...
「...ッア,橘サンッ!!」
鳥井が立ち声主の方へと駆けていく。
ウゲ、橘か。
橘蜜木、なんていうかクラスのムードメーカー的存在で
クラスメイトからの信頼は男女構わずあつい。
ちょっと男勝りっていうのもあって多少口調は乱暴だけど、
まぁ僕からしてみれば幼馴染である彼女のそんなとこは
あまり気にならない。と、いうよりも彼女の鈍感さとか
羞恥心の無さに感動する。
もう高校になるというのに、夏は暑いから!を理由に
僕が母に言われてスイカをお届けしに行ったときの出迎えの姿は
下着姿。年頃の男子に自身の下着姿を見せるのに少しは躊躇いはあるのか
と思っていたところその後の言葉は、家,入るー?だった。
断ったけど結局腕をひかれて橘の自室に二人きりになり相変わらず下着姿の
橘と雑談しながらスイカを食べたんだっけ?
で、...
「何ー,アンタ,鳥井さんが彼女だったのー!?」
何やら勘違いしているらしい、ほんと、何なんだコイツ。
「鳥井とはまぁかくかくしかじかで...アァーめんどくぇ,すまん鳥井,
できるだけコイツにもわかりやすいように説明してやってくれないか?」
どういう意味よ、と言わんばかりに橘には睨まれたがまぁ良い。
鳥井が今まであった事を繊細に説明するのを聞きながら僕は先程買った
スポドリをガブガブと飲んだ。
一通り話を聞き終わった橘は僕を見下したように
「まぁ,当たり前よね.泣き虫野郎の幸多朗が私より先にお相手を
見つけるなんて事ないわよねー,それに鳥井サンがこんな馬鹿なアンタを
拾ってくれる筈...」
とまでノンキな顔してペラペラ言っていた橘の口を抑えモゴモゴと暴れる橘を気にせず
鳥井に苦笑しながら気にしないで,コイツと目で送ったあとふぅとため息を一つついた。
10:
櫻田 コノハ [×]
2014-05-05 21:51:29
「それで...何でお前がいるんだよ.」
僕,橘,鳥井の順で石段に横に座ればいつの間に盗ったのか
橘は僕のスポドリを飲み干してから此処に来た理由を述べた。
「何でって暇だったからよ.さっきまで友達とラインしてたけど
既読無視しやがって,そのあと一切返事よこさないの!!
頭来るよね!んで,とりあえず少しパソコンで色色音楽聞いてたんだけど
そしたらいつのまにかノリノリになって踊ってて気づいたら汗だく!
暑いから少し涼まろうと外出て此処に来た,って訳.」
やはり皆,暑いと此処に集まりたくなるのだろうか、
それとも自分たち3人の考えが奇跡的に一致したのだろうか。
橘はもっと寄こせとばかりに僕に空になったペットボトルを差し出す。
仕方ないのでもう一度、僕だけ神社の外に出て3人分のドリンクを買う事になった。
戻ってくると珍しく煩い橘と比較的大人しい鳥井が何やら盛り上がっていた。
良く聞けば、これは一般的に恋ばなとか言われるものなのであろうか、
まぁ好きな人とか格好良い人とかそういうのだ。
でも鳥井ってそういうの興味あるのか?
橘はわかるけどそれには少し驚いた。
11:
櫻田 コノハ [×]
2014-05-06 09:59:02
「へぇー...でも意外!鳥井サンって案外乙女ーッ!」
橘がキャッキャしながら鳥井の手を握ってぶん回す。
おいおい、困ってるよ...
鳥井はと言うと苦笑しながらもでも少し橘との
コミニュケーションを楽しんでるようで今まで教室で見せていた笑の
100倍以上の回数の笑をしていた。
鳥井が楽しいなら良いか...。
話は段々僕にも関係ある方向へとずれていった。
そう、親友の希龍の話をし始めた。
「希龍ってさ,なんかチャライヨネー,自分,モテルと思ってんのかな!」
「でも,希龍クン,凄いハキハキしててクラスに貢献してくれてて...格好良いなって思う...」
「それは言えてる!あと,なんつってもルックスよね!泣き虫野郎とは全然違う!」
軽く僕にイヤミをいうのをやめてほしい...
鳥井は僕の事を心配そうに見つめながらなんとかフォローしている。
「あッ...でも,草鷺クンも面白いし楽しいし優しいし...頼りになるよ!
ルックスだってそこそこだと思う...ケド...」
ケド...?僕も橘も不思議そうに鳥井を見る。鳥井は言っていいのか良くないのか
はっきりしていないのかモジモジしている。そんな鳥井を橘は急かすように促す。
「エット...少し...下心もある...ような,あ,でもないよね,ゴメンゴメン...」
し,下...心?僕はポカンと口を開けて固まる。
それを隣の橘は爆笑して腹を抱えて笑っている。
鳥井は恥ずかしそうに,あと,僕にゴメンと言わんばかりの目で見つめてくる。
でも,でもまさかそんな風に思われてたなんて...
そんなショックな事があってまぁそのほか色色とお話して
3人でしばらく盛り上がっていた。と,鳥井が腕時計を見る。
「アッ!もうこんな時間...行かなきゃ...親が起きちゃう...」
橘も腕時計を、僕は携帯画面を見る。もう5時30分を回ろうとしている。
意外と時間経過が早かったような...なんていうか楽しくて?
時間が経つのを忘れていた。
「あぁ,確かに私も時間だわ.それにあと少ししたら友達も起きて
またラインで忙しくなるしー、」
「僕も少し寝たいし,解散しようか。」
僕も橘も鳥井に続いて立ち上がりいそいそと神社をあとにする。
鳥居を抜けて3人別々の方向へ帰ろうとする。
その時...
「あッ,あの!!今日もまた,集まりませんか??」
(/ ここで活動場をセイチャットから小説カキコに移させていただきます!!
今まで拝見してくださった方方,本当に感謝の気持ちでいっぱいです!
本当に有難うございました! 小説カキコでも頑張ります! )
12:
櫻田 コノハ [×]
2014-05-06 16:12:08
(/ やっぱり此処でも小説を書かせていただきたいと思います!
愛着わいてしまって... これからも宜しくお願いします! )
[ ◆ 弐 ]
朝7時をまわった頃だろうか。
まだ寝ていたい、つか寝かせろと言わんばかりに
少し機嫌の悪い僕は目を開いたままベッドに横になっていた。
大きな欠伸が出る。やっぱり僕は夜ふかし出来ないタイプなのだろうか。
昨日、帰ろうとしていた僕と橘を引き止めて今日も集会出来ないかと
土下座までしてきた鳥井を思い出す。
にしてもそれほどあの集会は楽しかったのだろうか。
親に内緒で真夜中に異性含めた友達と出会うスリルが楽しいのだろうか、
それとも今まで話した事のなかった友人たちと沢山話せた事が楽しかったのだろうか。
まぁ僕もさほど仲良くないヤツの隣でニコニコ作り笑いしながらどうでも良い話を聴いて
世辞言ってるよりも昨日の夜...ん?今日の夜?ン?まぁあん時の方が全然楽しい。
と、キッチンからどでかい女の声が聞こえた。母さんか...。
僕はダルイ体を無理やり起こして寝巻きからジャージに着替え、
朝ごはんだと騒ぎ立てる母親がいるキッチンへと足を運んだ。
リビングにいたのは僕が自室から出てくるのがいつもより10分遅かったと
騒ぎ立てる母親とスマホをいじりながら朝食を食べる姉と
僕を見つけた瞬間に僕の元へ駆けつけてきた可愛い弟だった。
「こう!!いつもより遅いわよ!夏休みだからってねぇ,あんた
怠けすぎ!」
「あ...幸多朗おはよー,」
「お兄ちゃん,おはよう!」
僕は可愛い弟の隣席に座りいただきます,と小さくつぶやく程度に言ってから
とりあえず手にとった牛乳が入ったコップを一気飲みした。
「幸多朗,まだ身長伸ばす気なのー?」
「...別にそういうんじゃないけど、」
「お兄ちゃんは十分でっかいよ!」
僕の身長は平均より少し高いぐらい.でも僕的にはもう少しあっても
いいと思う。でも姉はそれが気に入らないみたいだ。
「もうさー,小さい頃に私がアンタをおんぶしたり世話したりしてたから
立場的にはアンタより私の方がずっと上なのに?私より身長でかくなってから
見下されてるように見えて腹立つ!!」
っていうしょうもない理由。そんな理由で成長を妨げられても
ちょっと...。
姉は僕と弟より少し早めに朝食を食べ終えて何やら忙しなく
指をスマホ画面にあてて席を立つ。
「お母さん!今日,ちょっと彼氏とデートしてくる!」
デートって何するの?彼氏って誰?と目で聞いてくる弟に苦笑を返して
僕は姉に聞いた。
「もしかしてだけど...岩末サン?」
「そう!」
岩末翔馬サン、20歳、姉と同い年で3番目の彼氏サン。
3番目って何?って?ずばり彼氏の人数ですよ、はい、困った姉ですよね。
1番目の彼氏は年上でなんでもきっちりしてて真面目で純粋。
僕的には一番この人が好きだったけれどだらしない姉とは相性が合わずに
結局3ヶ月で別れる。でも僕は姉には秘密だけどこっそりメアド交換して
現在の姉のだらしない姿を報告しています。(それをTHE★幸(ミユキ)のだらしな報告書、と名づけた。)
2番目の彼氏は年下で甘え上手なちょっとホストにいそうな女タラシ魔。
これには家族全員皆ドン引きした。
と、言うかその男は姉が彼女にも関わらず母にも手を出していたのだ!許せん!
また、男への態度が酷く弟を奴隷のように扱っていてなんていうかエラソウと言うか...
そんでもってお金を催促して結局はお金目当ての男だったという事が判明。
姉は別れを惜しんでいたけど男の方はあっさりしててなんていうかもう1日後には
新しい女を見つけていたらしい...まったく、僕もあーゆーのにだけはなりたくない。
で、3番目の彼氏サンは岩末サンって言って優しくて親切でなんていうか天使様ですか
この人は!って位、良い人なんだけど自分の事を下げすぎてて...
例えば僕が岩末サンに「優しいですね!岩末サンは!」と言ったら
「えッ!!??ぼ,ぼぼぼ,僕がですか!!こ,こんなゴミクズ野郎に...
僕はゴミ中のゴミですよ!!」とか返されたり、
あとは食べ物を運ぶときなぜか手に手袋を3重にしてつけていて
「火傷?」と母が聞いたところ
「いえ!僕みたいなゴミの最近が皆さんが食べる綺麗なご飯を汚してはまずいので...」
とか言ったり。とりあえず、なんていうか岩末サンとの会話は
まったくもってゴミを基準としていて奇妙な会話。
一度母が「自分はゴミなんですか?」と冗談で笑いながら言ったとこと
岩末サンは笑いもせず即答で「ハイ、」と答えたそうだ。
で...姉は数分後にはちょっとブリッ子仕様のワンピースに着替えて
僕たちに手を振って家を出ていった。
13:
櫻田 コノハ [×]
2014-05-08 09:03:31
「ねぇ,お兄ちゃん!僕,プール行きたい!」
朝食もとっくに食べ終わり一人暇そうにゴロゴロしながら
テレビを見ながら横になっていた僕の腹にダイブして一撃を喰らわせた後に
可愛い声で弟が口から発した言葉がそれであった。
プールか...よく考えてみれば今年、学校で何度か入っただけでプライベートでは
まだ1度も入ったことがない。
以前は夏と言えば海!→金がない→海じゃないけどプールでいっか!の流れで
週2は友達やら家族やらで通い詰めしていたけれどなぜだか今年は忘れていた。
暇だしする事はないし暑いしプールで時間潰しを含め涼みに行こう、そう思った僕は
弟にプールに行く準備を命令した。弟は嬉しそうに自室に走り去っていった。
この話を聞いていた母は始めは私もダイエット込で行こうかしらなんて珍しく乗り気で
呟いていたけれどその数秒後に電話が来て楽しそうに喋りながら最後にすぐ行くわ、
なんて言って電話をきった後、小学校の友達とお茶をしに行くためにお洒落して
僕たちより数分前に家を出ていった。
僕はプライベート用の水着やらバスタオルやらゴーグルやら、後は携帯とか財布を鞄に入れて
弟を自転車の後ろに乗せながらプールへと向かう為、家を後にした。
「うっへー!!お兄ちゃん,プールプール!」
プールを目の前に興奮する弟。まぁ無理も無いか。
弟は4歳の頃から元一流アスリートが教える超スパルタ水泳教室に通っていた。
よってこの家族の中じゃ誰よりも水泳が出来る。僕なんかとは比べ物にならない。
でも最近は風邪引いて3日位休んでたからプールに入れないでずっと悔しんでた。
僕からしてみればあんまり泳げないから逆にラッキーとか思うんだろうけど...
で、まぁすぐさまプールに飛び込みそうな弟に準備体操を促してからスタタタと大人たちに
紛れるようにして泳ごうとする弟を見たあと自身はまだ小学生だろうか?
自身より年下の子たちがプール検定とかに合格しようと父親達と練習しているところに
紛れ込んで一人優雅に泳いでいた。と、いうよりは浮かんでいた。
僕はしばらく、たまに200メートルユーターンで大人に負けじと泳ぐ弟の様子も
見ながらこの冷たさと静けさを満喫していた。
プールに来てから十分後なぜだか僕と同じ場所で練習していた家族達が
いっせいにプールから上がって、今、このコースには自身と...
あとは多分ダイエット中のおばさんがいる位だった。
「ン?あッ!幸多朗じゃないのよ!」
目を閉じて浮かんでいる僕の頭上から先程聞いたばかりの声が聞こえる。
慌てて目を開けるとそこにいたのは橘と...鳥井だった。
14:
櫻田 コノハ [×]
2014-05-08 09:56:53
「うわぁっ!!うそん,橘ッ!」
驚きのあまり、体勢を崩した僕は少量だけど
プールの水を飲んでしまった...ウゲ、マズシ...
「何でいるんだよ...、」
「それは此方の台詞よ!!何でいんのよアンタが!!」
凄い嫌そうな顔をしながら僕を睨みつける橘...
何でって...来たかった、それ以外の何でもない。
「もう!!!言っとくけどね,うちらはあんたみたいに遊びにきた訳じゃ
ないの!プールの練習しに来たの!!だから邪魔しないでよね!!」
そう言い終えた後、橘は両手を腰にあてていかにもなんていうか...うん、
まぁ、そういう感じを出した。
でも確かに僕は言われてみれば遊びに来た感じだ。
それに水着もプライベート用だし。
でも橘と鳥井の水着はスクール水着だった。見るだけで
あ、練習しに来たんだ、ってわかる姿だった。
に、しても鳥井の水着姿はなんていうか...
そんな気持ち悪い妄想をしかけようとした僕の目を覚ますかのように
邪魔、と結構きつめに吐いた橘は鳥井の腕を掴んで強引に僕のいる位置から
あからさまに遠ざけるようにプールを歩いて行った。
しかも麻美子、って呼び捨てしながら...いつの間にそんな仲になったんだよ、
数分後、僕にあれだけ邪魔するなとか言ってた橘が近づいてきた。
フン...言いもん、相手してやんねぇし。
拗ねる僕の気がついたようで橘は一瞬、話しかけるのにひるんでたけど
いつもの強気オーラの2倍ものオーラを発揮して僕に話かけた。
「ねぇ...」
「...何だよ、」
なぜだろう、僕の今、目の前に広がるのは
見ているだけで涼しくなって夏を思わせる素敵なプールじゃなくて
おっさんのような格好をしながらグビグビと牛乳を飲み干していく
おっさん系少女と僕に遠慮しているのか控えめな行動をとる少女の
姿であった。
「んぁぁあっ!もう!僕はお前達の飲み物補給のために
ここに来たんじゃないんだぞ!」
騒ぎ立てる僕なんてお構いなしにもう一本とか図々しくねだる橘に
睨みをきかせて鳥井に近づいた。
「...! あ,ごめんね...私は良いの...
後で蜜木の分も払うから待ってね?」
うぐぐぐ、やっぱり鳥井は可愛くて良い子だ。
こんな奴と一緒にいたら鳥井もいつかこんなんになっちゃうのだろうか。
そう思って橘を見つめる。...と
「...な,何よ!見つめちゃって!きもいわよ...」
とか言いながらなにげに照れてる橘であった。
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(C) Mikle