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23255:
Green-eyed monster [×]
2014-01-12 20:44:35
ブラッドクロス外伝改め『ブライトクロス』
第三話 不登校の賢者
俺は泡に包まれて海の上に浮かんでいた。
辺りを見回すと同じように何人も潜行者が浮かんでいる。
彼らの中には文句を言う人もいた。
「またコレかよ、ふざけんな!」
「いい加減他の方法があるだろ!」
また?よくある事なのか?
「あ、あの、一体何が起こったんですか?」
俺は近くの男性に訊ねた。
「強制排出だよ、君は新顔だな
ベルを鳴らすとこうやって全員吐き出されるんだ
文句言う奴もいるけど、俺は結構好きだよ」
そうこうしているうちに、俺達を包む泡は岸辺に流れ着いた。
「具合の悪い奴がいるようだし、職員に連絡しなくっちゃあな」
陸にあげられた人々はまた海に戻る人や、精神薬を飲んで休憩を取る人など行動は様々。
俺はとりあえずアヴィスと合流した。
「さっき見たけどアルメリィの姿は無いようね」
「全員排出された訳だから、やっぱりいないって事か、あの先生も適当な事言うなぁ」
「それはどうかしら」
「どういう事だよ?」
「あの程度の事なら抵抗出来るはずよ、実力者ならね
さ、行きましょ、五階へ」
コイツの執念深さ、やっぱり気になる。
もう一度だけアヴィスについていく事にしよう。
「ところで今のセリフ、弱者宣言だよなァ~ww 」
「事前に知ってたら私だって楽勝だったわよッ!」
バシーン、ドボォーン
「ふう、五階まで降りるのも一苦労だったわね」
「問題は『髪は長くて紫色、かったるそーな感じで、見るからに愛想の悪いアルメリィ・オリアート、性別は女』なんてのが本当にいるかどうか」
「見つけたわ!」
「早いな
………え、マジで?」
オリアートさんは長机で本の書き写しをしていた。
「お久しぶりね~ぇ、アルメリィ・オリアートォ」
アヴィスが声をかけるが反応は無い。
「私は貴方と会った時の事、片時も忘れなかったわぁ~」
反応無し。
「あれからというもの私は反省してね、修行に励んだのよ」
反応無し。
彼女の顔を覗き込むアヴィス。
「今の私なら貴女なんて一捻りよ、フッフフフ…」
反応無し。
アヴィスの絡み方が悪いのは確実…
しかしなんか逆にアヴィスがかわいそうな気がしてきたぞ。
ついにオリアートさんが顔を上げた。
ここぞとばかりに悪役っぽい表情を見せつけるアヴィス。
正直それやる意味がわからない。
オリアートさんの方はペンを置いて両腕を上に…あっ、これはただの伸びですね。
そして何事も無かったかのように作業再開。
「ちょっとちょっとちょっとォー!
何とか言いなさいよアンタッ!」
深いため息をついてオリアートさんが口を開いた。
「………私、今忙しいから、用があるなら待ってて」
消え入りそうなか細い声だった。
「最初からそういう風に答えればよかったのよ
それで、どのくらい待てばいいの?」
「……………じゃあ、368年くらい」
「アンタねぇ!」
俺はアヴィスの肩に手を置く。
「お前じゃ埒が空かねぇ、ここは一旦退けよ」
「…ふん、だったらキュリオのお手並みを拝見させて頂くわ」
この俺様渾身の爽やかボイスで陥落させてやるぜ!
「やあ、初めまして、オリアートさん
僕は今年から同じクラスになったきゅり…」
「名乗らなくていい、興味ないから
私の邪魔しないで」
「おい、アヴィス何なんだこの女はよォ~~~!?
メチャクチャ態度最悪じゃあねーかッ!」
「何なんだって言われても知らないわよ
五秒の関係だもの、見た目と第一印象だけが情報」
「そりゃお前の妄想設定の話だろーがッ!」
「妄想ですってぇ!?
事実を認めた上で乗り越えようとしているこの私によくもそんな事を!
最大級の侮辱だわッ!」
「うるさいッ!!!
私の邪魔しないでって言ってるでしょッ!」
さっきまでの様子からは信じられない程の大声。
俺もアヴィスも完全に呆気にとられてしまった。
「いいかしら、二人共
先に用事を聞く事にした
だから済んだら大人しく帰りなさい」
「単刀直入に言うと、ライバルとして貴女にリベンジしてあげるから学校に来なさい、という話よ」
「前半余計だけど、まぁそういう事だな」
「リベンジというのは模擬戦闘の事だと思うけど、一応試験日には登校する
後はマッチング次第ね」
「だから試験で当たらないかも知れないから、普段もちゃんと学校に来なさいと言ってるのよ」
「そもそもそれは貴方の都合、私が合わせる義理は無い」
「私に勝っておいてよくそんな言葉が…!」
「話が進まないからアヴィスは引っ込めぇ~
で、君の方こそ何で学校に来ないんだ?」
「初めは行ってたけど、何故か先生に試験結果だけ良ければ来なくていいって言われた
それが理由、だからここで過ごしてるの」
「なんだそりゃ?家庭の事情だとか、学校生活自体には問題無かったわけ?」
「家族はいないし、生徒達も作業中の私に絡んでくる点以外は恐らく善良だったはず」
「つまり来なくていいって言われた『だけ』で不登校って事かしら?」
「そう、おかげで好きなだけこの海にいられるわ」
「あっそ、じゃあ目的変更
貴女と賢者の海の関係は知らないけど、こんな情けない奴に勝ったところで何の意味も無いわ」
「私にこだわるのをやめてくれるのは非常に助かる」
「まったく、愚か娘ね…逆よ!
新しい目的はお前を真人間に叩き直す事!
徹底的にこだわってやるわ、リベンジはそれから!
キュリオも手伝いなさい」
「え~、何で俺がそんなめんどくさそうな…」
「その目的、すごくやめてほしいんだけど」
「アルメリィ、明日の朝はどこにいるの?」
「ここにいるわ、最近は五階に戻ってきたから」
「七時に迎えに来るから明日から登校よ
キュリオもこっちによりなさい
てことで今日はもう帰るわ
さようなら、また明日」
「さようなら、願わくば永遠に」
「じゃ、俺も帰るかー」
「貴方も永遠にさようなら」
「俺も永遠かよ…
あ、そうだ、最後に訊くけど、アイツとどんな関係?」
「さあ?覚えてないけど、多分模擬戦闘で当たったみたい」
「ちなみに君どのくらい強い?」
「戦闘、好きじゃないから早めに終わらせてるわ
一撃だから、だいたいいつも五秒くらい」
偶然の一致………に、しちゃあ………かといって現実的でもねぇし………
真実はこの目で確かめるしかない訳で、そのためには結局アヴィスの手伝いをするハメになるなぁ…
第三話 不登校の賢者 終
次回 押し付けがましい救い主
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