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とりとめない思考/3045


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自分のトピックを作る
2785: 青葉 [×]
2013-07-21 00:27:02

少し間を空けすぎたね。


2786: izm [×]
2013-07-22 00:21:05

新しい登場人物!
異常事態に気付いてるんですね

間が空いても続いていてよかったです
最後まで気長に待っています
お忙しいとは思いますが頑張ってくださいね

2787: 活字大好き [×]
2013-07-22 14:11:13

更新された!
まさかの新展開!

続きが読めるだけで幸せなので、ご自身のペースでどうぞ

2788: 青葉 [×]
2013-08-07 21:25:56

このまま何も話さずにいるのは危険な気がする。不安を抱える菜奈緒は雪見が学校に来る不可解な事態に耐えきれず、騒ぎ出してしまうかもしれない。騒ぎが起きるのは、世間にこの事態を知らしめるきっかけになるかもしれないので僕にとっては好都合だ。しかし騒ぎ出すのが菜奈緒一人なのはよろしくないと思う。それこそ菜奈緒は学校で能力を振るっているゼロに狙われるだろう。僕の都合で何の力もない菜奈緒を危険に晒すことはできない。
「僕達の学校は今おかしなことが起きているんだ。佐野さんが気づいたこと以上におかしなことが起きている。」
菜奈緒が事態をある程度把握しつつ、騒ぎ出すのは危険があることを理解してもらえるよう話をしなければならない。これは難しいことだ。何せ僕自身がまだこの事態を把握してるとはとても言えない状況なのだ。
誰が黒幕なのか?黒幕の能力は?黒幕の目的は何?雪見はこれまでどこで何をしていた?いま雪見は何処にいる?新里はゼロか?何で黒幕は隠れ蓑に新里を選んだ?
解らないことを考えればまだまだいくらでも出てくる。
いや、それ以前に僕の疑問は妥当なのか?全く勘違いしているのかもしれない。学校に来た雪見は偽物だというのが真実かもしれないし、やはり新里が黒幕なのかもしれない。まあ、新里が事の中心なのであれば黒幕という表現は新里に当てはまらないが。
「だから何が起きてるの?」
「説明が難しいんだ。」
菜奈緒が騒ぎ出さないよう説得しなければならない。そう思うが不安になる。どこまで話して危険はないだろうか。話すことで逆に菜奈緒の不安を更に煽ってしまわないだろうか。僕はこれについても日和に意見を訊きたいと思った。僕より正しい判断を下せると思う。つまり僕は日和を頼りたいということだ。
「難しくても話してよ。」
菜奈緒は僕を困らせる。
「学校で起きていることは普通じゃないと佐野さんも解ってると思う。普通じゃないうえに危険なことが起きている。実際に学校で大ケガをした実例があるんだ。」
「幸島君のこと?」
菜奈緒は図星をついてきたが別に驚くことではない。学校で大ケガをしたといば誰もがコウのことを思い浮かべるだろう。

2789: 青葉 [×]
2013-08-07 21:29:38

「そう。そして何故幸島が……コウが大ケガをしたのかといえば、僕の近くにいたからだと思う。」
「何で一色君の近くにいると危険なの?」
「それは、このおかしな事態を起こしている誰かに僕が疎まれているか、その誰かの仲間に僕が嫌われているかだと思う。本当は佐野さんも僕には近づかない方がいいんだ。」
「何でその誰かは直接一色君を狙わないの?」
「狙っているよ。ただ失敗しているだけ。コウの場合は僕の近くにいたことで間違いが起きて大ケガしてしまったけど佐野さんは事態に気づいてしまった。気づいたことを知られてしまうと僕のように必ず狙われる。事態に気づいてなかったコウ以上に佐野さんは危険だと思う。佐野さんにとって大事なのは僕に近づかないことと、この事態に気づいたことを誰にも悟られないことだよ。敵が誰だか判らない以上は誰にも悟られない方がいい。」
「幸島君は間違いがあって大ケガしたの?一色君を本当は狙ったことだったの?」
「そう。だから僕の近くにいるだけで危険なんだ。」
そう答えたが疑問が生じる。

コウを四階から落としたのは本当に意図しないでのことだったのか?

新里が黒幕ならば意図しないでと判断して間違いないだろう。
だけど黒幕が新里でないならばどうだろう。
新里は僕が大ケガする原因をコウとすることを望んだ。その前に僕が落下物で大ケガすることを希望した。結局僕には命中しなかったが、四階から落ちてきたコウに僕がぶつかっていたら僕は大ケガしただろう。そしてその犯人はコウということになる。だけどそうなればコウもただでは済まない。僕という人間クッションがあったら今現在ほどの危険な状態にはならなかったかもしれないが大ケガをすることには変わりなかったはずだ。コウが大ケガすることを新里は望んでいない。新里が黒幕である強力なゼロの隠れ蓑になるのと引き換えに、新里の感情は理解せず言葉だけを捉えて願望を叶えているとしたら、新里が本当は望まないことが起きても不思議ではない。だがそうなると黒幕は人の心を形成できていない危険な奴だろう。

2790: 青葉 [×]
2013-08-07 21:45:06

花瓶等の物ではなくコウ自身の身体を落下物にする思考に達するには、かなりネジ曲がったうえに冷酷な性格でなければ無理だと思う。
だが新里ではない黒幕がいたとして、そんな性格ならばやはり雪見ではない。雪見にそんな思考はあり得ない。
どうあれ菜奈緒はかなり危険な状況にいる。新里が強力なゼロだとしても危険な状況だが、黒幕が他にいるならばさらに危険が増す。 学校で起きている事態に気づき始めた菜奈緒の存在を黒幕が知れば容赦ない対応をするだろう。コウの様に。いやそれ以上かもしれない。何せ黒幕にとって、自分の成し遂げようとすることを邪魔する存在に菜奈緒はなる可能性があるのだから。
いたずらに菜奈緒に恐怖心を与えてはいけないと思ったが、むしろ菜奈緒の恐怖心を刺激してでも騒ぎを起こさせない方法をとるべきではないかと考えを僕は変わってきている。
「一色君の近くにいるだけで危険だなんて、一色君は渦中の中心にいるんだね。」
菜奈緒はそんなことを言った。
僕は渦中の中心にいるのだろうか?
判らない。
判らないが、菜奈緒がそう思うならばその考えは頂くのがいい。
「僕は渦中の中心にいる。だから解る。さっきも言ったけどこの事態に気づいたことは誰にも知られてはいけない。知られてしまうとコウのようになる。必ずなるよ。」
「何でそう言えるの?事態を知ってる一色君は元気にここにいるじゃない。」
コウのように必ずなるといっても説得力がないと言っているのだろう。一番に狙われてい僕が元気なのだから、菜奈緒がそう思うのも頷ける。
「僕には楯があるから……。だから無事でいられる。でも佐野さんにはない。佐野さんには丸腰なんだ……。」
「楯?一色君、解らないよ。何を言いたいの?」
僕は歯切れ悪くそう言った。どこまで話していいのか判断がつかない。もう情に訴えるしかない。そう思った。
「とにかく!……佐野さんはこの件に関わっては駄目だ。雪見は僕にとって大事な幼馴染みだ。その雪見が大切にしている佐野さんを僕は危険に巻き込むわけにはいかない。必ず僕が何とかするから。だから……」
「一色君!」
僕が力を込めて話出すと、邪魔が入る。日和の声だ。

2791: 活字大好き [×]
2013-08-16 11:10:13

おぉ!
日和さん!

2792: 青葉ファン [×]
2013-08-19 22:29:29

にゃ~

謎だらけだけど
黒幕さんと守りたい存在
一色君の有言実行なるか
日和さんはどう出るのか

続きが楽しみです


2793: 青葉 [×]
2013-09-21 02:17:07

月が出てる

2794: 青葉 [×]
2013-09-21 02:23:45

日和は僕の後ろから近づいたきた。だから僕は声をかけられるまで気づけなかった。日和は僕のすぐそばまで近づいていた。僕と反対の方向を向いていた菜奈緒の視界には近づく日和が映っていたことだろう。普通なら誰かがここまで近づいてきたら視線が一度はそっちに向くはずだ。だが菜奈緒にはそれがなかった。それも日和ならではだろう。日和の能力は健在だ。己れの存在を他者からの興味の対象にさせない能力。日和もまた僕と違った盾を持っている。いつからそばにいたのか検討もつかない。
「こんばんは。」
日和は菜奈緒に顔を向けて軽く会釈をした。それに対して菜奈緒は一瞥はしたものの、すぐに僕の方を向き、
「ごめんね、一色君。約束があったのね。」
と言った。
日和を無視したのは何も菜奈緒が礼儀を知らないわけではないだろう。そうさせているのは日和だ。
僕はこれから情に訴えて菜奈緒を言いくるめようとしていたが、日和の登場したのでプランを変更することにした。これから言いくるめるための演説を始めようとしている所での日和の参上は出鼻を挫かれたような気持ちになったが、どうせこのまま演説をしても成功する確率は低かっただろう。今はこのタイミングで日和が現れたのは説明を先のばしにする好機だと思う。
菜奈緒が騒ぎ出さないようにどう話を持っていくべきか。どこまで情報を開示して良いのか。それを日和に相談する時間を稼ぐことができる。それには菜奈緒に帰ってもらわなければならない。
僕のプランは、日和と約束があるので今日は話す時間がない。明日に話すから待ってほしい、と菜奈緒に時間を貰うことだ。もちろん明日までは騒ぎ出さないよう約束を取り付けなければならない。そこをどうするかは少し悩むが直ぐに菜奈緒を説得するより簡単に思える。
「そう。約束があるんだ。ごめん。」
まずは僕に時間がないことを菜奈緒に伝える。が、
「大丈夫、待ってるよ。大事な話をしてるみたいだもん。」
日和はそう言って二三歩後ろに下がった。有り難くない言葉だ。
「一色君の知ってることを教えて。時間がないみたいだから簡潔でいいよ。」
菜奈緒が僕をせかす。

2795: 青葉 [×]
2013-09-21 02:26:35

「簡潔には話せないよ。」
「話してよ。きっと、このまま何も解らずに帰ることになったらどうにかなっちゃうよ。」
僕を困らせる発言だ。
「明日まで……明日まで待ってほしいんだ。必ず明日すべて知ってることを話すから。明日まで大人しく待ってくれれば必ず。」
僕は菜奈緒にそうお願いした。
「一色君の近くにいると危険なのに明日もまた会うの?」
そう言ったのは日和だ。後ろに身を引いたのにすぐに口を挟んできた。
「でも、ここのように黒幕の力が及ばない所で会うならば危険度は格段に下がります。確かに僕との接触はなるべく避けるべきですが、今は佐野さんを納得させる情報が少ない。今日ここで簡潔に説明をしたところで、さらに佐野さんの混乱を深めてしまうでしょう。」
そう日和に向かって言った。僕には説得する相手が二人いるようだ。
「その状況は明日になれば変わるの?」
日和は僕の邪魔をする。答えは変わらない、だ。
もう嘘を作り出すしかない。
「変わります。」
そう日和に答えてから、僕は菜奈緒に話出す。
「今日の時点では佐野さんが知りたいことを半分も話せないと思う。僕もよく解らないことだらけだから。でも、明日になれば少しは解る。全体のことはまだ解らなくても、雪見のことは解る。僕は雪見を取り戻したい。」
「取り戻すって、何から?誰から?雪見は学校に来て、話もしたよ。よく意味が解んない。」
菜奈緒は不可解な顔をする。考えてみれば取り戻したいという気持ちは僕だけのものだろう。どうあれ菜奈緒が僕の言葉に興味を持ったのは悪くはない。
「雪見は自由を奪われていると思うんだ。」
僕がそう言うと菜奈緒は反論する。
「そうは見えなかったけど。学校での雪見は何も変わらなかった。別に不自由には見えなかった。一色君、問題はそこじゃないと思う。ねえ、雪見は生きているの?学校に来たんだから生きているんだよね?」
やはり菜奈緒にとって一番知りたいのはそこだろう。僕も雪見が生きているとは信じているが、違う可能性も否めないと考えている。雪見が生きていると確信したいと思っている。

2796: 青葉 [×]
2013-10-06 21:50:11

「生きているよ。間違いない。」
本当は僕が誰かに言ってほしい言葉を菜奈緒に言う。
菜奈緒の顔が少し明るくなる。色々な思いがあったのだろう。
これで菜奈緒が安心して明日まで待ってくれるならば僕の嘘も悪いことではない。菜奈緒を危険に晒す確率を減らせる。
「本当に?」
「もちろん。でも雪見には自由がない。それは雪見の家に行けば解る。雪見の家に行っても雪見には会えない。何時なんどきに行っても会えない。何故なら雪見は家に帰れないからね。帰れない代わりに雪見は家では遺影になっている。」
「何でそんなことに?雪見に何が起きてるの?」
菜奈緒が話に興味を示している。今日は帰ることを説得できそうな雰囲気だ。
「そこが解らない。でもこれからそれを調べに行く。その人とね。」
僕は日和を指差した。そして日和の顔色を伺う。日和の表情は動かなかった。
話を続ける。
「調べようとしていることは、確実に探られたくないことだと思う誰かがいることなんだ。だからその誰かに警戒心を与えないためにも佐野さんは大人しくしててほしい。その方が調べものは成功する。僕達はもう行かなくちゃ。」
菜奈緒は日和をちょっと見て視線を僕に戻す。
「そう。それでその人とこんな時間に待ち合わせしてたのね。解った。明日まで待ってる。雪見に何が起きてるのか知りたい。」
菜奈緒はそう言ってくれたが、念を押す。
「明日僕と会うまで大人しくしててくれる?」
「亡くなった雪見が学校に来たのがおかしいのじゃなくて、亡くなってない雪見が亡くなったことになっていたことがおかしいのね。」
「そうだよ。」
「あと、亡くなったと思ってる雪見が学校に来たのに、誰も疑問に思ってないことも。」
「そうだね。その通り。」
「明日まで待てばそれらが何故か解る?」
「そのことを僕達はこれから解き明かしに行くんだ。失敗するつもりはないよ。」
「ならば、明日まで待つ。明日必ず解ったことを教えてね。」
菜奈緒は明日までは待ってくれるようだ。
「ありがとう。」
ついお礼が口に出てしまう。
「じゃあ一色君、明日ね。」
菜奈緒は、そう言うと駅に向かって走っていった。
自分がおかしくなったのではないかという恐怖から解放された菜奈緒は心なしか会った時より明るい表情をしているように見えた。
「それで一色君、あたしはこれから一緒に何処に行けばいいの?」
菜奈緒が遠ざかるのを待ってから日和が口を開いた。
「どこにも。さっきの話は嘘ですから。」
「なんだ、そうなの。何でそんな嘘を?」
「そうしないと佐野さんが危険なんじゃないかと思いまして。佐野さんは学校で起きていることに気づいてます。」
「そうみたいね。気づいてしまえば黒幕がどう動くか分からないからね。でも、雪見さんのことを気づく人なんていないかと思ってた。考えが甘かったか。佐野さんは雪見さんとは仲が良かったもんね。」
僕は頷く。
「一色君。今日は切り抜けたみたいだけど明日はどうするの?佐野さんには何かしら納得してもらえる話を用意しないと。」
「そこが頭の痛いところです。どうすればいいと思いますか?」
「そんなの解らない。自分でまいた種でしょう。自分で考えてよ。」
日和に相談しようとして、明日まで時間を稼いだのに冷たい反応をされた。
「日和さんは、もう犠牲者を出したくないんですよね?佐野さんは危険な立場です。協力して下さい。」
「確かにね。危険な状況に佐野さんはなってる。でも、だからといって、あからさまにあたしを巻き込まなくてもいいんじゃない?雪見さんのことを探りに行くのに、あたしまで一緒に行くなんて嘘は蛇足じゃない?別に一人でいくことにして、相談だけあたしにしてくれればいいのに。」
日和は僕をなじる。
「済みません。でも一人で行くというより二人で行くという方が真実味があるんじゃないかと思ったんです。」
実際あの時そう思った。
「まあ、何処に行くのかさえ聞かず納得して去って行ったんだから、効果があったのかもしれないけど。でも、よくも巻き込んでくれたわね!という反感はあるわ。一色君、ひとつ貸しね。」
その日和の言葉は意味をなさない。僕はそう思った。これまでも感じたことがあったので確信したが、日和は無意味な会話を楽しむ傾向があるようだ。
「巻き込んでませんよ。日和さんは誰からも巻き込まれない。」
菜奈緒は日和のことなど歯牙にもかけていない。何の印象もないだろう。いや、ないと断言できる。日和はそんな能力だ。
日和は首をすくめる。
「さて、佐野さんのことは後にしよう。一色君、先ずあたしが訊きたいのは結果よ。佐野さんとの話を聞いていればだいたい解るけど、雪見さんの家はどうだった?」
日和とっての興味は一番にそこだろう。
「雪見は家には帰ってこないでしょう。遺影になってました。間違いなく爆死したということになってから一度も帰ってません。」
日和は遠慮がちに言う。
「雪見さんには会えなかったということね。つまりは雪見さんの生死は定かではない。学校に来た雪見さんが偽物である可能性は残ったわね。」
僕は頷き、
「そして、生きているならば雪見が黒幕という可能性も、ですね。」
そう日和に言われる前に言ってしまう。その方が僕は日和に不快感を覚えない。それに雪見に会えなかったからには僕は日和の考えを覆す材料がない。言われて仕方ない。
「ありがとう、一色君。貴重な情報くれて。」
日和は笑顔を見せた。
「何がありがたいのか解りません。雪見には会えず何も解りませんでした。進展はありません。」
雪見に会い全てを解き明かすつもりだった僕には、日和の笑顔が辛かった。
「雪見さんが家には帰らないことが判った。今までも帰ってないことが判った。雪見さんは今日学校に来ているのに家では遺影なのが判った。進展よ。」
日和は真面目な顔でそう言った。
「進展……。そうですか?」
「雪見さんが生きているならば、いま学校内にいる。これは間違いない。一色君、嘘から出た実じゃないけど、これから雪見さんのことを探りに行こうよ。」
思わぬ提言だった。日和は学校に行く準備が出来ているのだろうか。非常に疑問だ。
「これからですか?」
聞き返すと、
「そう言ってるじゃない。」
と軽い口調で返ってきた。
「そうですか……。」
やはり準備は何もしてないだろうと判断する。
僕の言い様を日和は拒否と考えたのだろう。
「行けないの?優等生の優君は家に帰りたい?早く帰らないとママに怒られちゃう?」
腹立たしくなる口調で僕を茶化す。だが、それなら僕も言いたいことが言える。
「日和さんは学校に行ったら使いものになりません。本来の目的を忘れてしまいますからね。雪見のことを探りに行くと言いましたけど、きっと日和さんは学校に行けば雪見のことを忘れて、僕を強力なゼロと疑い僕に探りを入れるでしょう。本末転倒。これから一緒に行ったところで足手まといです。」
売られた喧嘩を買った。
「一色君。よくそんな尤もで的確で返す言葉もないことを言えるね。優しさが感じられない。正直言って傷つけられた。来世もモテないのは決定ね。」
自分から挑発的な言葉を投げ掛けておきながら、どうして僕を責められるのだろうかと感心した。
「馬鹿にした言葉を吐いたのは日和さんからでしょう。よく僕を非難できますね。よほど神経が図太くないと、なかなか自分をそこまで棚に上げられませんよ。」
「馬鹿になんかしてないわよ。一緒に行ってほしいと遠回しに頼んでるだけじゃない。そんなこと言わないと理解できないの?本当に一色君は女心が解らないのね。」
「そんなのが遠回しながらも女心ならば、僕は確かに来世も女心が解らずにモテないでしょう。でも、あれは普通おちょくられた捉えますよ。屈折した人でなければ女心は解らないという話を日和さんはしていると思います。」
「屈折した性格のくせに……。」
日和は勢いを失い、ポツリと言った。
「つまり日和さんの評価は間違っていたんですよ。僕は真っ直ぐなんです。それに、僕が屈折した性格ならば日和さんの話は破綻してるじゃないですか。だって……」
「うるさい!」
日和は僕の話を怒声で遮る。
「男のくせにゴチャゴチャ言い返さないで!」
男は女との言い争いに全て敗北しろと言っているのだろうか。
しかし、日和が怒声で応じたということは、僕は日和に勝利したということだ。
「すみません。」
僕は勝者として心に余裕を持って謝った。
日和は僕の謝罪を聞いて苦々しい顔をするが、このまま舌戦を続けても意味がないことを日和は感じたのだろう。
「一色君、あたし達はまだ決別はしなくていいんでしょう?」
そう訊いてきた。
そういえば雪見の家に行く前にそんな話をした。
「雪見は黒幕だと思いますか?」
問題はそこだ。
「相手は強力なゼロよ。どんな真実があるのかなんて想像では解りはしない。雪見さんが黒幕という、その可能性はあるけど違っても全く驚かない。確信なんてないわ。だからこそ少しでも真実に近づけるように、これから学校に行ってみようと誘ってるのよ。」
「学校に行ってしまえば日和さんは目的を失い何をすればいいか解らなくなります。そして僕を警戒するだけでしょう。」
そこの対処を準備しているのならば、学校に行くことに異論はない。
日和は哀しそうな、悔しそうな顔をして、
「一緒にいくけど、あたしは確かに足手まといになるかもしれない。行っても高い確率で一色君頼みになるでしょうね。それでも行かないと。」
そう言った。
「何故です?どうして足手まといになっても行こうと思うんですか?」
日和は人頼みで動くタイプではない。
「一色君には本当に申し訳ないと思うけど、もう、あまり猶予はないんじゃないかと思ったのよ。」
「何で僕に申し訳ないと思うんです?それに猶予とは何のですか?」
「ゼロの能力によって、誰かが大ケガをする。または命を落とす。新たにそんなことが起こるのに猶予はないと思うの。既に佐野さんは精神的苦痛を感じている。それは心のケガと言って過言はないでしょう。猶予なんて言葉も当てはまらないのかも。それくらい事態は逼迫してるんじゃないかしら。」
「僕に申し訳ないという気持ちは何でですか?」
「本来はあたし一人がリスクを追わなければならない。そのはずなのに学校内でのあたしは無力。一色君が半端でない危機に陥る可能性を感じながらも一色君を頼るしなかない。背に腹は代えられない。でも、そんな勝手なことを頼むことを申し訳なく思うのよ。」
日和はうつむき加減になっていた。日和は僕を犠牲にするとしても事態の収拾の可能性を一番に優先する決断をしたのだろう。
「それだけ逼迫してると思う要因はなんですか?」
急に敵地である学校に人気のない夜に乗り込む決断をした理由を知りたい。
「今まで姿をみせなかった雪見さんが現れたでしょう。黒幕が誰であれ、黒幕は事を大きく動かし出したんだと思うわ。そして、今日一日で状況は悪い方へ進んでいる。雪見さんが現れたのに誰も不思議に思わない。それに気づいてしまった佐野さんという存在。そして事を起こしているゼロの能力範囲が学校に留まらず拡張していること。それらのことから、もう座して待つことはできないという結論に達したのよ。」
そう日和は返答した。
「別に日和さんは座して待っていったわけじゃないでしょう?日和さんには仲間がいます。その中で日和さんは能力の性質上、斥候の役割を担っていたんだと解釈しています。敵地での情報収集をしっかりしていたじゃないですか。」
「しっかりは出来なかった。黒幕が誰で、どんな能力か分かっていない。」
「日和さんは以前、ゼロの能力を消ことが出来ると言ってました。何ですぐに学校内で事を起こしているゼロの能力を消し去ってしまわないか疑問に思いましたが、ゼロが複数いると複雑だだとか、タイミングがあるとかは言って教えてくれませんでした。」
「そうだったわね。」
「今どういうことなのか教えて下さい。そうすれば僕を危険に晒すことを決めた日和さんの覚悟を受け止めらます。」
「言えば一緒行ってくれるの?」
「いいえ、一緒には行きません。一人で行きます。」

2797: izm [×]
2013-11-08 21:45:51

お久しぶりです

続きは…どうなるんでしょう??


2798: 青葉  [×]
2013-11-11 21:43:29

はい、続けます。

2799: 青葉  [×]
2013-11-11 21:45:10

日和は目を見開く。
「一人で?」
「そうです。一人で行きます。」
「そうはいかないわ。一緒に行く。一色君一人にリスクを負わせることはできない。そうでなければ、あたしは自分を納得させられない。」
「日和さんの意思は関係なく、僕は一人で行きます。」
「ならば、一色君の質問には答えないわ。」
「雪見が学校にいるならば、答えようが答えまいが行きます。そう決めてしまいました。誤解のないよう言っておきますが、僕は交換条件を出してるわけじゃないんです。僕が危険をおして学校に行く代わりに何で学校で事を起こしているゼロの能力を消さないのか情報を提供しろと迫ってるのではありません。」
「じゃあ何でそんなことを訊くの?」
「日和さんの覚悟を計るためですよ。僕は覚悟を決めました。」
「一色君の覚悟って何?一人で学校に乗り込む覚悟?」
「違います。日和さんと
協力していく覚悟です。」
日和は複雑な表情で笑みを浮かべる。
「一色君はあたしと協力するのに覚悟を必要とするのね。」
「もちろんです。日和さんだってそうのはずです。だから、覚悟の度合いを計りたいんです。」
「どういう意味合い?」
「僕と日和さんは完全に同じ目的で行動しているわけじゃありません。共通の敵がいるから協力しているに過ぎません。」
「敵の敵は味方だからね。」
「そうです。でもハッキリしたことは何もありません。共通の敵といっても黒幕が誰だか判っていないのが現状です。そして僕は雪見を救い出したい。けど、日和さんは雪見を疑う気持ちがある。さらに渦中の学校に行けば僕たちはゼロの強力な能力によって協調できない。それでも僕は日和さんと協力していくことに決めました。僕は自分の目的を果たすと共に、日和さんが目的を達成できるように動きます。ゼロをゼロにするという、日和さんに賛同します。僕が一人リスクを負うというのは、学校に一人で行くことではなく、僕と共闘する覚悟のない日和さんと手を組むことです。」

2800: izm [×]
2013-11-14 00:24:25

続きが読めてよかったです
またまた気長に待ってみます
優くん応援してま~す

2801: 青葉 [×]
2014-05-21 22:46:34

ずいぶんと放置した。
青葉には長編は無理だったかな。それもし仕方ない。

2802: 青葉 [×]
2014-05-22 00:53:03

「連続性のある夢を見た話」


夜中に夢を見た。

青葉は布団に転がりながらテレビをみている。最初にどんな番組を観ていたのかは記憶していない。
記憶していない番組から、画面は急にニュースに変わる。
男性アナウンサーが、
「突然ですが速報です。数時間後に関東地方で地震がおきます。」
そう言った。
男性アナウンサーは見たことのない顔だけど、鼻の横に大きな黒子があり角刈りという特徴があった。

2803: 青葉 [×]
2014-05-22 00:55:03

アナウンサーは続けて、
「震源地は神奈川県沖で、埼玉県の震度は4……。震度4なので、そのまま寝ていて大丈夫です。」
と言った。
そこで青葉は一度目覚める。

2804: 青葉 [×]
2014-05-22 00:57:00

青葉の寝ている部屋にはテレビはない。夢の中の部屋は実在しない。
それに、実際にアナウンサーが埼玉県のみの情報を言うわけもない。
それに地震の予知は不可能のはず。
夢は夢。
そう思いながら再び入眠した。
どれくらいの時間が経ったのだろう。
実際に地震が起きた。

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