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かよの部屋*∀*/21


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21: 匿名 [×]
2013-05-30 02:39:54

場所は川島プロダクション、ごく普通の事務室。

川島「ここにたどり着くまでに、どれだけの時間と労力を費やしてきただろうか。しかし、その苦労も無駄にはならなかった。我々はこのアイドル戦国時代のトップをとる最高のメンバーを選びだしたからだ。それが、ももりん、さーや、たまちゃん、キャサリン、プカリン、みーこ、この6人、未確認少女隊UFIだ! いよいよ明日、彼女たちが、このアットマーク川島プロダクションの命運をかけ、芸能界にデビューする。みんな、悔いはないな?」

升野「僕はこれまでのプロデューサー人生の中で最高の6人を選び抜いた自信があります。誰一人欠けてもだめです。」

角田「最高の6人かぁ。いい言葉だ。社長! 俺も悔いなんかないです!」

川島「…でだ! まぁ、そんな頼もしい君たちにちょっと、まぁちょっと頼みがあるんだけどね?」

升野・角田「ん?」

川島「ちょっと、6人の中の誰かを、ちょっと、この子に差し替えらんないかな?」

升野「あの…聞いてました? あの6人が最高の6人って今言いましたよね?」

川島「そう! だから、その最高の6人のうち1人を、ちょっと、この子に変えちゃおうって今言いましたよね?」

升野「だから、最高なのはあの6人なの。てゆーかさ、デビュー会見明日ですよ? 差し替えなんか出来るわけないでしょ」

川島「あのさ、この子のことちゃんと見ないでそう簡単に決めつけないでくれよ!」

升野「はぁ? あんたそれマジで言ってんの?」

角田「まぁまぁまぁまぁ、一応見るだけ見てみましょうよ」

角田「え…?」

升野「なに…?」

升野「うわ…すっげぇブスじゃん」

川島「ブスとはなんだブスとは!」

角田「つか完全なゴリラじゃないすか」

川島「完全なゴリラじゃない人間だ!」

角田「しかもなんかすげぇケバいっすねこれぇ、キャバ嬢みたいっすね」

升野「いやこんなゴリラみたいな女にキャバ嬢なんか出来るわけないじゃん」

川島「ゴリラじゃない! エリナだ! …そしてエリナは、キャバ嬢です!」

角田「なんだよ」

升野「ハァ…なんでこんなキャバ嬢と差し替えなきゃならないんですか」

川島「あれ? キャバ嬢がアイドルになっちゃいけないの?」

升野「いや、キャバ嬢だからじゃないよ。ブスだからだよ」

川島「エリナはブスじゃない! …仮にブスだとしても、ブスがアイドルになっちゃダメなのかよ!」

升野「いやダメだよ!」

~~~ここで一旦区切る~~~

升野はソファーにだらけて寝転がり、豊本はパソコンに夢中になっている。

川島「えー、今日から、川島プロダクションに入社することになった、飯塚くんだ! 飯塚くんは、以前にも芸能プロダクションに勤めていて、この世界に精通している男だ! 彼には、UFIの、マネージメントをしてもらう! では飯塚くん、一言挨拶を」

飯塚「はい」

飯塚「えー今日から、この事務所で働かせてもらいます、飯塚です! よろしくお願いします!」

升野「プッ」(噛んだ爪を吹き出す)

飯塚「…えー、至らないことがありましたら、あの、どんどん…」

川島「おおおい升野ぉぉ!」

升野(爪を食べている)

川島「爪食ってんじゃねーぞ!」

川島(升野を睨む)

川島「いいよ続けて」(飯塚に向かってにこやかに)

飯塚「あ、はい」

飯塚「とにかく、熱意だけなら誰にも負けない自信があります!」

川島「んんん升野ぉぉ!」

飯塚「…」

川島「話聞けっつってんだろうがぁぁ!」

升野「差し替えなんか絶対あり得ないですからね? そのゴリナにも言っておいて下さい」

川島「ゴリナってなんだお前! お前な、人の惚れた女をゴリラ扱いしてんじゃねーぞコラオイ!」

(川島が升野に掴みかかる)

(川島と升野が掴み合いになり、飯塚が止める)

飯塚「やめて下さい! やめて下さい!」

川島「ゴリナだってな、可愛いとこあんだよ!」

飯塚「…今ゴリナ受け入れてましたけど?」

(川島の携帯が鳴る)

川島「あ! やべ! ゴリナからだ!」

飯塚「いやもう普通にゴリナって言っちゃってますけど!?」

川島「どうしよやばいよう~」

飯塚「どうしたんすか?」

川島「いや一回デートしてくれたらアイドルとしてデビューさせてくれるって約束しちゃったんだよ」

升野「いいから断れよ!」

川島「…あ! もしもし、エリナ? うん、あ、そう、芸能デビューの件ね~、それね、色々立て込んでてさ~」

(川島が電話しながら一度ステージから離れ、それと同時にあかりがダンボールを持ってステージに入ってくる)

あかり「事務所宛てに荷物届いてますけど…」(升野に向かって)

升野「うっせぇブス今そんな気分じゃねーんだ」

(あかりが升野を睨む)

飯塚「…すげぇ睨んでますけど…大丈夫ですか?」

飯塚「あ、あの、今日から、この事務所に入りました飯塚で…」

(あかりがダンボールを下に叩きつける)

飯塚「えぇ!? ちょっと…えぇ!? 大丈夫ですかこれ」

(飯塚の声を無視して、あかりは事務室の椅子に座る)

(ここで電話の音)

あかり「もしもし、アットマーク川島プロです」

あかり「…はい」

あかり「升野さん電話です」(若干ウザそうに)

升野「だから今そんな気分じゃねぇんだブース! 何度も言わせんなブース!」

(升野はまだソファーに寝転びながら、今度は携帯をいじっている)

あかり「さっきからブスブスって、ムカつくんですけど!」

升野「はぁ? 事務員がプロデューサーに口答えとかあり得ないと思うんですけど?」

あかり「事務員とかプロデューサーとか関係ないと思うんですけど?」

升野「関係あると思うんですけど。プロデューサーの方が偉いと思うんですけど」(せせら笑いながら言う)

あかり「てゆーか、チビにブスって言われたくないんですけど」

升野「別にチビじゃないんですけどぉ。こっちは普通なんですけどそっちがでかいだけだと思うんですけどぉ!」(起き上がりながら言う)

あかり「もう口利きたくないんですけど!」

(あかりが座り、口喧嘩が終わる)

飯塚「…あの、電話いいんですか? 電話」

飯塚「あの、電話大丈夫ですか?」(豊本に話しかける)

豊本「んんマサコッ! ヘイ! マサコゥッ! ヘイ、マサコゥッ! ウフフ、ウフフフフ…」

(豊本はパソコンに向かってニヤニヤ笑っている)

飯塚「…一人もまともなやついねーじゃねーか! 何だここ!」

飯塚「ちょっと電話! 貸して下さい電話…」(無言のあかりから電話を取りながら)

飯塚「…はい…え!? …わかりました。…失礼します」

飯塚「あの、すいません! 大変です」(升野に向かって)

升野「ん?」

飯塚「ちょっとよくわかんないんですけど」

升野「うん」

飯塚「サンサン商店街ケーブルテレビさんから今電話がありまして」

升野「うん」

飯塚「司会をやるはずの角田さんという方が突然いなくなったそうで、本当に2時からデビュー会やるんですか?って今電話が来たんですけど」

升野「え!?」(寝転がっていた状態から起き上がる)

升野「おい、デビュー会見まであと10分もねーぞ。角田何やってんだあいつ」

飯塚「すいません、僕に言われましてもちょっと…」

升野「お前把握しとけよちゃんと」

飯塚「すいません…」

升野「…てか、誰だお前!?」

飯塚「…いや、あの、ですから、今日からこの事務所に入ります、飯塚です」

升野「あー、新しいUFIのマネージャーか」

飯塚「はい」

升野「マネージャー何やってんだ。早く行って見て来いよ」

飯塚「はい!」

飯塚「…え、会見所ってどこですか?」

升野「会見所はこのビルの最上階の稽古場だよ行けよ早く!」

飯塚「え、稽古場?」

升野「うん」

飯塚「普通そういうのってホテルとかでやりません?」

升野「うるせーな、金がねーんだ。早く行けよ」

(ここで、川島がステージに戻って来る)

川島「おいみんな! 社長の最後のわがままだと思って聞いてくれ…エリナカンカンなんだよ~…。もうさぁ、アイドルにしなきゃ俺を訴えるっていうんだよ~。だから、みなさんの力で、なんとかして下さい! お願いしま~す」(頭を下げる)

升野「あの、今それどころじゃないです。角田がいなくなったんですよ」

川島「角田が~? だって今あいつあれでしょ? 今日司会でしょ~?」

升野「そうですよ? だから問題になってるんですよ!」

(ここで角田が慌ただしくステージに出てくる)

角田「大変だ大変だ大変だ! 大変です! まじ大変な状態です」

升野「お前は何してたんだオラ~!!」

(升野が角田に掴みかかる)

角田「えーとえーと…」

升野「何があったか説明しろオラ~!」(角田の胸ぐらを掴みながら叫ぶ)

飯塚「ちょっとちょっとちょっと升野さん! 今言おうとしてる人の首絞めてどーすんですか! 何も言えないでしょ!」

飯塚「ちょっと大丈夫ですか?」

角田「ありがとう…ハァハァ…君は命の恩人だ…ハァハァ…」

角田「…誰だ!」

飯塚「…今日からこの事務所に入ります。飯塚です」

角田「あ~、そうか。君が新しいマネージャの」

飯塚「はい」

角田「俺はUFIの楽曲を手がける作曲家の角田だ。まぁわからないことがあったら何でも」

升野「早く言えよ!」

(升野がまた角田の胸ぐらに掴みかかる)

飯塚「ちょっとちょっとちょっと!」

角田「あ、そうなんです、大変なんです! みーこが…みーこが会見所にやって来ないんですよ!」

川島「みーこが!? どういうことだよ?」

角田「わかんないすよ! いくら電話しても出ないし…」

升野「あいつ何してんだ…!?」

(升野がソファーに座りながら携帯に手をつける)

飯塚「あの、すいません、何がどうなっているんでしょうか?」

角田「把握しとけよマネージャー!!」

飯塚「え?」

角田「UFIのメンバーのみーこが会見所にやってこないんだよ!」

飯塚「ええ!?」

升野「あーもしもし、升野ですけど、何やってんだ? えーこの留守番電話を聞いたら大至急折り返し電話するように! いいな!」

(升野が電話を切る)

升野「どーすんだよ…」

川島「……あーーー! こういうのはどうだろうかー?」

飯塚「…何ですか?」

川島「エリナを、メンバーにするのはどうだろうかー?」

川島「ねぇ! 状況がさ! 状況だからさ、仕方無いよね! ほら、飯塚君も見てよコレ」

飯塚「あぁ、これが噂の…すげぇブス」

川島「ブスじゃない!」

(ここで升野の電話が鳴る)

升野「…みーこです」

(川島と角田と飯塚が升野の近くに寄る)

升野「もしもし、みーこ? あ、お母さんですか? みーこは?」

川島「お母さんだって」(角田と飯塚に小声で)

升野「えぇ。…え? デビューしたくないってどういうことですか?」

川島「デビューしたくないんだって」(角田と飯塚に小声で)

升野「そういうの本人から聞かないと、納得出来ないですから。ちょっと代わって下さい。お願いします」

川島「お願いしますだって」(角田と飯塚に小声で)

飯塚「いやそれ伝えなくていいから」

角田「今どんな感じですか?」

升野「今みーこに代わってくれるそうです。説得します!」

升野「…もしもし!」

升野「みーこです」(川島と角田と飯塚に小声で)

升野「……あ…あのー…升野ですけど…あの…あの…あの…」

飯塚「なんすかその喋り方!」

川島「こいつ、可愛い子が相手だと、緊張して喋れなくなるんだよ」

飯塚「それ、アイドルのプロデューサーとして、致命的でしょ」

川島「まぁ、才能はすごくあるんだよね…」

升野「…うん…うん…うん? …うん……」

(升野が電話を切る)

升野「…ふぅ、説得失敗しました」

飯塚「でしょうねぇ!」

角田「まずいまずいですって~。もうすぐデビュー会見始ってしまいますよ~」

(角田がテレビを指しながら)

川島「もうなんでもいいから時間稼ぐぞ!」

角田「でも、どうやって…」

川島「角田! お前の歌でいこう! デビュー会見のオープニングとして、角田の歌で、繋ぐんだよ!」

升野「何言ってんの!?」

角田「社長…俺の下らない歌でよかったらいくらでも繋ぎますよ!」

升野「やんの!? ハァ? やんの!?」

角田「よっしゃあ! いくぜ相棒!!」(ギターを持ちながら)

角田「行ってきまーす!」

(ここで角田がステージから走りながら離れる)

升野「テレビのボリューム上げて」

飯塚「あ、はい」

角田『さぁみなさん、これから大型新人アイドルユニット、未確認少女隊UFIのデビュー記者会見を始めたいところですが…その前に! ヘイヘイヘイヘイヘーイ! まずは俺の下らない歌でお楽しみ下さーい!』(テレビ越しの角田の声)

(升野と飯塚は無言で見ている)

角田『ウォウウォウウォウ♪ ウォウウォウウォウ♪ ウォウウォウウォウ~♪』

升野「下げて下げて下げて!」

(飯塚が音を下げて完全に聞こえなくなる)

升野「社長どうします? こうなったらもう、5人でデビューさせるしかないんじゃないですか?」

川島「それはダメだ! デビュー曲が、アニメのテーマソングに決まってる! 契約上、6人でなきゃダメなんだ!」

升野「もう今更アニメの主題歌とかどうでもいいでしょう…」

(ここで、豊本が机を叩いて立ち上がる)

豊本「アニメの主題歌を舐めるなぁ!」

飯塚「何この人急に! …なに?」

豊本「僕たち、アニメを愛する人間にとってぇ…、主題歌のないアニメは…アニメであって…アニメじゃなぁい!」(めちゃくちゃ気持ち悪く)

飯塚「…気持ち悪ぃ!」

(豊本は静かに椅子に戻る)

升野「…あいつは、うちの会社で雑用やってるバイトだよ。とはいっても、会社でアニメのDVDばっかり見てるクソみたいなやつだけどな」

飯塚「なんでクビにしないんすか?」

升野「あいつうちの会社に200万近く借金があって、それを返すまではクビにすることも出来ない、まさにクソみたいなやつなんだ。…そんなクソの話どうだっていいんだよ。社長、もう5人でデビューさせましょうよ!」

川島「ダメだ! 契約を破れば、違約金を払わなければならない! そんな金はこの会社にはない! …だから、残された手はこれしかないんだよ」(携帯を取りながら)

川島「…あ、もしもしエリナ? あのね、アイドルデビューの件…決定したから!」

升野「いやいやいやいやいや!」

(升野が川島から携帯を奪おうとするが、川島も取られないように逃げる)

升野・飯塚「それはまずい! それはまずい!」

川島「はい!そういうことだから、ではお待ちしてまーす!」

川島「はい呼んじゃったー呼んじゃったー! 俺知~らない!」

飯塚「知~らないってなんだ! 社長でしょあんた!」

升野「ふざっけんなよマジで…。あんた本気でこのブスデビューさせようと思ってんの?」

川島「それ写真写りが悪いんだよ! 本当はもっと可愛いんだ!」

升野「もう今これしか判断材料がないしこれ実物が可愛いという確率も低い!」

川島「じゃあいいよ! もっと可愛い写真送ってもらうから!」

升野「そういう問題じゃねーよ…」

川島「…あーもしもし? なんかプリクラの写真とかないかな?」

(ここで川島が電話をしながらステージから離れる)

升野「いつ撮ったんだよそんなの…」

飯塚「あの、ちょっといいですか?」

升野「ん?」

飯塚「この子じゃダメですか?」(あかりを指しながら)

あかり「…は?」

飯塚「俺君ならイケると思うんだけど…」

升野「お前何言ってんの?」(せせら笑って)

升野「俺一流アイドルプロデューサーだよ? こんな近くにそんな逸材いたら見逃すわけねーじゃん。てゆーか、こんな近くにそんな可愛い子いたら緊張して話せないから!」

飯塚「升野さんそれ治せよ! …てか今時間ないんですよ。ね? お願い君、いいでしょ?」

あかり「嫌です」

飯塚「そんなこと言わずにさぁ…ちょっと升野さんにさ、顔一回見てもらおう」

(飯塚があかりを強引に立たそうとする)

飯塚「今事務所ピンチだから!」

あかり「やめて下さい! …私あなたみたいな人タイプじゃないんです」

飯塚「今それ関係ないだろ! ちょっといいから、ね?」

あかり「やめて下さい!」

(あかりが抵抗して、机の上のダンボールに当たり、それが下に落ちる)

飯塚・あかり「ん?」

豊本「…? こ、これ! これ、どーしたんだよ?」

あかり「それ、さっき外で宅配便の人に渡されて…」

(それを聞いた豊本が慌てて開けようとする)

豊本「あーー! これは…僕が、ネットオークションで、死ぬ想いで落札した、マジカルガール、マサカマサコの変身セットだぁ~。あ~! 僕のマサコのステッキが折れてる! 先っちょがな~い! 先っちょがな~い! あ~は~は~、oh、シット! oh、シット! oh、シッット!」(oh、シットの部分で腰を深くし、膝を叩きながら叫ぶ)

飯塚「こぇーよー!」

豊本「こ返信セットは、特別限定品で、マニアの中のマニアでしか手に入らない物なんだ…200万もするんだぞ…」

飯塚「200万!?」

豊本「僕が事務所に返さずに貯め込んだ200万で、ようやく競り落としたのに!」

飯塚「あんたホントクソみてーだな」

豊本「立て! 立て立て!」

(豊本があかりを強引に立たそうとする)

豊本「いいからこっち来い! 気をつけをしろ! そしてメガネを取れ!」

(豊本があかりのメガネを取る)

豊本「殴る! 今からお前を殴る!」

飯塚「やめましょう」

豊本「2回殴る! 僕の分と、マサコの分だ!」

飯塚「もうもうやめましょう!」

(飯塚が豊本を止めようとし、豊本が大人しくならないので仕方なく地面にたたきつける)

飯塚「お前本当になんなんだ!」

飯塚「…ねぇ君大丈夫?」

あかり「あ…はい」

飯塚「…え? ごめん、ちゃんと顔見せて… すげぇ美人!」

豊本「邪魔をするなぁ!」

飯塚「お前の方が邪魔だ」

(飯塚が豊本の腹を叩き、豊本はまた倒れる)

飯塚「升野さん! 升野さん! これだけ可愛かったらイケるんじゃないですか?」

(升野があかりの顔を見て固まる)

飯塚「どうですか? もっと近くでちゃんと見て下さい。升野さん。升野さん。…升野さん…? ちゃんと立って下さい」

(升野は固まって動けず、飯塚に立たされる)

升野「…………ま、升野ですけど」(小声で)

あかり「……はい」

(ここで数秒間の沈黙)

飯塚「これ何の時間!? ちょっとメガネメガネ、一回かけて下さい。ほら」

(飯塚がさっき豊本に外されたメガネをあかりに返し、あかりがそれをつける)

升野「プハァ!」(緊張が解かれて)

升野「ハァ…ハァ…そんな可愛い子と…まともに喋れるか!」

飯塚「偉そうに言えることじゃないでしょそれ!」

升野「悪いけど! 正直に言わせてもらう…お前は、私が長年探し求めていた理想のアイドルとピッタリ一緒だ…やっと巡り合えた…」

飯塚「別に今日初対面じゃないでしょ?」

升野「デビューしろ…これはプロデューサー命令だ!」

あかり「嫌です」

升野「いや…デビューしろ」

あかり「嫌です」

升野「デビューしろ」

あかり「嫌です」

升野「デビューしろ!」

あかり「嫌です!」

飯塚「やめろぉ! …すげぇ無駄な時間。てかあかりさんお願いします。今事務所第ピンチなんです。…てか、アイドルになりたくないんですか?」

あかり「…嫌なもんは嫌なんですよ…。私、そもそも対人恐怖症なんです…人の顔見て喋れないから、いつも度の合ってないメガネをかけて、人の顔をまともに見れないようにしてるんです。絶対に無理です!」

(あかりが走って逃げるようにステージから離れる)

飯塚「あかりさん? ちょっとあかりさん?」

(飯塚がそれを追いかけようとした時に、川島がステージに戻って来る)

川島「ねぇねぇ見て見て見て! このエリナ超可愛いから!」

(升野が川島の持ってきた携帯をどこかへブン投げる)

川島「エリナーーーーーー!」

(川島が走ってステージから離れる)

飯塚「もうどーすりゃいいんだよー!」

~~~ここで一旦区切り~~~

角田「もう無理なのか~? もうメンバーの自己紹介始まっちゃってますよ!」(テレビを指して言う)

角田「あと一人どうすんすか…」

升野「もうこれしか手はない…社長、もうこの子でいきましょう」

(そう言って升野が指したのはゴリナの写真)

飯塚「え…いいんですか?」

升野「いいんだ。史上初のゴリラ顔アイドル。その名もゴリナ。これほどインパクトのあるアイドルはいない。それに、アイドルグループというのは、ブスを入れて周りを引き立てるという方法もある! ま、この方法はあんまり使いたくなかったんだけど」

川島「いい加減にしろ! …人が惚れた女を、ゴリラだとか、ブスだとか、もういい! もうわかりました! エリナはUFIに入れません! そんなね、使われ方するんだったらね、入れない方がマシですよーだ!」

飯塚「社長! すねないで下さいよ!」

角田「あぁ! こいつの自己紹介、喋ることが全然ねぇ! どんどん次いっちゃってますよ!」

升野「ちょっと角田! なんでもいいから喋らせろ! 自分の生い立ちとかいろいろ喋らせて時間を延ばせ!」

角田「わかりました!」

(角田が走ってステージから離れる)

(ここで川島の携帯が鳴る)

川島「あーもしもしエリナ? え? もう下のローソンまで来ちゃってる? え? 夢をかなえてくれてありがとうって…、え? またデートしてくれる? うん…エリナ、I love you」

川島「おいみんな聞いてくれ! エリナ、デビューの準備万端です!」

升野「え、いいんですか?」

川島「いいもなにももう、下のローソンまで来ちゃってるっていうからさぁ!」

(ここで角田が慌てながらステージに現れる)

角田「大変です大変です大変です!」

升野「安心しろ角田、もう6人目決まったから」

角田「違うんです! メンバー紹介で、4人目のプカリンが、最初は順調に話してたんですけど、喋ることがなくなっちゃったんすかねぇ…? 学生時代、タバコを吸っていたことをカミングアウトしちゃったんです」

升野・飯塚「ええー!?」

角田「プカリンが…プカプカ~って…」

飯塚「そんな子デビューさせらんないっしょ!」

角田「俺ももうどうすればいいかわかんなくなっちゃって、会見所に割って入って、『こいつはメンバーじゃない! 偽物です!』って言って、引きずり降ろしてきたんです! もうしっちゃかめっちゃかですわ!」

飯塚「本当だ。しっちゃかめっちゃかだ…」(テレビを見ながら)

角田「なんとかしないとー!」

升野「あの、とりあえず、下のローソンのとこにゴリラみたいな女いるから、そいつをメンバーとして紹介しろ。名前ゴリナ、早く!」

角田「はい! わかりました!」

川島「おい角田! 丁重に扱えよ~」(ニヤけて)

角田「はい!」

(角田がステージから離れる)

川島「はは~、これで、万事解決ってわけだ!」

升野「いや、解決じゃないでしょ。だってプカリンいなくなってんだからあと1人必要でしょ」

川島「…あ、そうかぁ!」

飯塚「いやバカでしょ! ちくちょう…なんかいい方法ねーのかよ…! …これだ。これは使える…!」

(飯塚が豊本のマサカマサコの変身セットの顔の部分に目を向け、手に取った)

飯塚「お願いします! あかりさん! 出てきて下さい!」

あかり「嫌だ! 私、絶対に人前に出たくないの…! 私は地味に暮らしたいの!」(ステージから見えないところから言う)

飯塚「大丈夫です! いい方法があるんです! 人前に出ながら、地味に暮らす方法が…」

あかり「嫌…アイドルなんか絶対に嫌!」

飯塚「なんでですか。アイドルって素晴らしいものじゃないですか実は僕、昔、気が弱くて、いつもみんなからいじめられて、ずっと家で引きこもっていた時期があたんです。もう何もかもが嫌で、人生絶望だと思ってたんです。しかし、ある日、テレビで、アイドルが歌っているのを見て、世の中にはこんな素晴らしい世界があるんだって感動したんです! だから僕は、その時将来、アイドルのマネージャーになって、恩返ししたいって思ったんです…お願いしますあかりさん、UFIに加わって下さい。そして僕に、恩返しさせて下さい!」

あかり「絶対嫌です」

飯塚「ふざけんじゃねぇぞオラオイ! お前いつまでチョーシにのってんだよオラねーちゃん。オイオラオイ! じゃあお前なんだ、さっきの200万どう弁償する気だ、あぁ? てめーのしょっぱい給料で返せると思ってんじゃねぇぞオラ! ねぇ社長、そうですよね!?」

川島「はい、そうです」

飯塚「…なぁねーちゃん、いい方法があんだよ。怖くねーから。出て来いよ、なぁ」

(あかりがステージに出てくる)

あかり「…命だけは、保障してくれますか?」

飯塚「大丈夫命だけは保証してやる。おいでおいで怖くねーから。な? 。大丈夫、200万なんかすぐ返せっから。よし、これ被れ」

(飯塚があかりに、マサコの変身セットの顔の部分を被せる)

飯塚「よし、これなら、表舞台に立っても、君の正体はわからない! つまり、地味に暮らせるってわけだ」

川島「でもそんなアイドルはちょっと…」

升野「いや! …正体不明の覆面アイドル? おお、未確認少女隊UFIの趣旨にピッタリだ。これ売れんぞ。おい、あかり、いくぞ、デビュー会見だ!」

あかり「嫌です」

升野「や…デビュー会見だ!」

あかり「嫌です」

升野「デビュー会見だ!」

あかり「嫌です!」

升野「デビュー会見だ!」

飯塚「やかましいわ! いつまでグダグダやってんだオラ! ぜーいんいくぞオラァ!」

川島・升野「はい!」

(あかりが逃げるようにステージから離れ、飯塚・川島・升野がその後に走ってステージから離れる)

豊本「ちょっと! 僕のマサコのマスク!」

(豊本もそれを追いかけるように走ってステージから離れる)



~~~終わり~~~


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